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国際

2025年6月11日

シンガポール政府とジョホール摂政が土地交換

 シンガポール政府とマレーシア・ジョホール州の摂政トゥンク・イスマイル殿下は、シンガポール植物園に隣接する13ヘクタールの土地と、近隣の8.5ヘクタールの国有地を交換することで合意した。交換後、13ヘクタールの土地は国家の所有となり、8.5ヘクタールの土地は殿下に譲渡され、開発が可能となる見通しである。
 
 対象地であるタイヤサル・パークの13ヘクタールは、1800年代からジョホール王室が所有してきた由緒ある土地であり、一部はこれまでにも植物園の拡張(タイヤサル・ウィングやギャロップ・エクステンション)に活用されてきた。
 
 現在、トゥンク・イスマイル殿下は一帯に合計21.1ヘクタールを保有しており、今回の13ヘクタールの交換により、8.5ヘクタールと隣接する8.1ヘクタールが殿下の保有地として残る。今回の取り引きは「シンガポール政府と個人との契約」であり、マレーシア連邦政府およびジョホール州政府は交渉に関与していないとされる。
 
 SLA(シンガポール土地庁)およびURA(都市再開発庁)は、交換の目的について「植物園が2015年にユネスコ世界遺産に登録されたことを踏まえ、計画中の住宅開発が視覚的および環境的な影響を及ぼさないよう配慮するため」と説明している。
 
 交換される両地は「低層・低密度住宅地」としての潜在価値があり、価値は概ね同等とされている。8.5ヘクタールの土地は既存の住宅地に近接しており、開発強度がより高く設定できる可能性がある。実際の開発には土地改良料などの支払いが求められる可能性があり、環境影響調査も義務づけられる。
 
 一方、国家が取得する13ヘクタールの土地は、当面は開発を行わず、将来的な植物園の拡張などに備えて保全される見通しである。この地には1930年代に建設された「イスタナ・ウッドヌーク」が存在するが、現在は老朽化が進んでいる。
 
 専門家によれば、土地の再区画や容積率が未確定なため、正確な資産価値の算定は難しいという。仮に住宅地として再区画された場合、全体の市場価値は最大で38億Sドル(約4,300億円)に達する可能性があるとの見方も出ている。

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