2025年6月10日
グラブ、インドネシアGoToとの買収交渉を否定
シンガポール拠点の配車・デリバリー企業グラブ(Grab)は6月9日、インドネシアのライバル企業GoTo(ゴートゥー)との間で買収交渉が行われているとの報道を否定した。
同社はNASDAQへの提出文書で、「PT GoTo Gojek Tokopedia Tbkとの間で取引に関する協議を行っているとの報道があるが、現時点で当社は同社といかなる協議も行っておらず、最終的な合意にも至っていない」と明言した。
これに先立ちロイターは、グラブが2024年第2四半期中にGoToの買収を目指しており、すでに財務アドバイザーを雇っていると関係者の話として報じていた。買収額は約70億USドル(約9,700億円)に上る可能性があるとされていた。
また、ブルームバーグも6月7日に報じたところによれば、インドネシアの政府系ファンド「ダナンタラ」がこの買収に関与する可能性があるとの見方があった。しかし、同ファンドの投資責任者であるステファヌス・アデ・ハディウィジャヤ氏は、インドネシアメディアTempoに対し「そのような協議は一切行われていない」と述べた。
GoTo側も6月10日、ジャカルタ証券取引所に提出した声明で「いかなる当事者とも合意に至った事実はない」と従来の立場を再確認した。
グラブは今回の声明で「資本配分においては、収益性のある有機的成長を最優先とし、非有機的な機会には厳しい選定基準を適用する」と述べ、慎重な資金活用の方針を示した。
一方でインドネシア市場については、「当社の使命を果たす上で極めて重要な市場であり、今後も顧客、ドライバー、加盟店舗パートナーに最善のサービスを提供していく」と強調した。
なお、グラブは同日別途発表した事業報告で、2024年4月〜5月のオンデマンド部門の流通総額(GMV)が前年同期比で19%増加し、配車サービスの利用回数も23%伸びたことを明らかにしている。