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社会

2025年5月30日

シンガポールの若者、精神疾患が主要な障害・死亡要因に

 2025年5月28日、医学誌『ランセット・パブリック・ヘルス』に掲載された研究によると、シンガポールにおいて10~14歳の若者にとって、精神疾患が障害および死亡の主な要因となっていることが明らかになった。この研究は、2021年のデータを基に、同国の若者の精神的健康状態を分析している。
 
 研究によれば、2021年におけるシンガポールの精神疾患の有病率は、男性で12.8%、女性で11.7%と推定されている。同年、国内での診断件数は65万3,000件に達し、特に70歳以上の高齢者においては、過去と比較して3倍の増加が見られた。
 
 最も一般的な疾患は不安障害と抑うつ症であり、それぞれ約18万5,000人と14万4,000人が影響を受けている。これらの増加は、主にCOVID-19パンデミックによる影響が大きいとされている。
 
 研究の主執筆者であるシンガポール国立大学医学部のマリー・ン准教授は、ソーシャルメディアの普及や高い学業プレッシャーが、若者の精神的健康に悪影響を及ぼしていると指摘している。
 
 この研究は、東南アジア諸国連合(ASEAN)の公衆衛生危機に関する4つの調査の一環として、2021年の「世界疾病負荷研究(Global Burden of Disease)」の枠組みで実施された。ASEAN地域全体では、2021年に8,040万件の精神疾患が推定されており、1990年と比較して約70%の増加が見られる。特に不安障害が最も一般的な疾患として報告されている。
 
 このような状況を受け、シンガポールでは若者の精神的健康を支援するための包括的な取り組みが求められている。教育機関やコミュニティ、政府が連携し、早期介入や予防策の強化、精神的健康に関する意識向上が急務である。

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