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国際

2025年5月28日

ASEAN、ミャンマー和平と貿易戦略で連携強化へ

 2025年5月25日、クアラルンプールで開催された第46回ASEAN首脳会議において、東南アジア諸国連合(ASEAN)の指導者たちは、ミャンマーの和平進展と地域貿易戦略の強化に向けた協議を行った。
 
 マレーシアのアンワル・イブラヒム首相は、ミャンマー軍政と反対勢力との間で「重要な」対話が進展していると評価し、静かな外交努力の継続が必要であると強調した。アンワル首相は、軍政トップのミン・アウン・フライン氏および影の政府である国民統一政府(NUG)との非公開会談を実施し、対話の重要性を訴えた。
 
 タイのマーリット・サギアムポン外相も、包括的な停戦と対話の必要性を強調し、国際社会との協力を呼びかけた。特に、ミャンマー国内での詐欺組織の拠点が地域全体に悪影響を及ぼしていることを指摘し、これらの問題への対応が求められている。
 
 また、ASEAN諸国は、米国のドナルド・トランプ大統領による関税引き上げの脅威に直面しており、これに対する協調的な対応策を模索している。アンワル首相は、トランプ大統領との会談を要請し、関税問題についての協議を進める意向を示した。
 
 さらに、フィリピンのフェルディナンド・ロムアルデス・マルコス・ジュニア大統領は、南シナ海における中国との緊張が高まる中、ASEANと中国との間での海洋行動規範の早期策定の必要性を訴えた。ASEANと中国は、2025年末までにこの行動規範の策定を目指している。
 
 ASEANは、ミャンマー問題に関しては2021年に合意された「五項目合意」に基づき、暴力の即時停止と包括的な対話の実現を目指している。しかし、これまでの進展は限定的であり、今回の首脳会議では、ミャンマー情勢に特化した2つの会合を開催し、和平プロセスの再活性化を図る予定である。
 
 このように、ASEANはミャンマーの和平実現と地域の経済安定に向けて、外交的努力と協調的な戦略の構築を進めている。 

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