2025年5月28日
HTXとGoogle Cloud、AI活用で公共安全分野を強化
シンガポールの内務省科学技術庁(HTX)は、Google Cloudとの間で人工知能(AI)分野における協力を強化する覚書(MoU)を締結した。これにより、公共安全分野におけるAIの活用が一層進展する見込みである。
HTXは2024年6月に「HTxAI」構想を開始し、AI人材の採用を積極的に進めてきた。既に「Phoenix」と呼ばれる大規模言語モデル(LLM)を開発し、データ分析や情報処理の効率化を図っている。
今回の協力では、AIセキュリティ、サイバーセキュリティ研究、AIモデル開発、クラウドプラットフォームの導入、AI対応ソフトウェアソリューション、AIガバナンスとトレーニングなど、多岐にわたる分野での連携が予定されている。
特に、HTXは2025年にGoogleの「Google Distributed Cloud(GDC)Air-Gapped」を導入する予定である。これは、厳格な主権および規制要件を満たすために完全に隔離された環境を提供するフルマネージドソリューションである。
さらに、両者は説明可能なAI(Explainable AI)、堅牢なAI(Robust AI)、AIの安全性に関連する公共安全のユースケースに対応するAIガバナンスモデルとガードレールの開発にも取り組む。
Google Cloudのアジア太平洋地域プレジデントであるカラン・バジワ氏は、「AIは公共部門の運営において重要な役割を果たすようになっており、HTXとの協力は、シンガポールの公共安全分野における先進的なAIおよびクラウドソリューションの開発と展開に貢献する」と述べている。
HTXのチーフAIオフィサーであるアン・チー・ウィー氏は、「AIはシンガポール国民の安全と安心を確保するための業務を変革する可能性を秘めている。HTXは500人規模のAIチームを構築し、最先端のAIツール、プラットフォーム、インフラを導入することで、公共の安全を強化する」と述べている。
この協力は、シンガポールの公共安全分野におけるAIの活用を一層促進し、世界中の公共安全機関にとってのモデルケースとなることが期待されている。