2025年5月9日
伊勢丹タンピネス店、2025年11月に閉店へ
シンガポールの百貨店「伊勢丹タンピネス店」が、2025年11月をもって営業を終了することが発表された。運営会社であるIsetan Singaporeが5月6日に明らかにしたもので、同店は1996年のタンピネス・モール開業時からの基幹テナントとして親しまれてきた。閉店の理由は、現在の賃貸契約満了によるものである。
伊勢丹タンピネス店には、家庭用品や子供用品などを購入する多くの地元住民の思い出が詰まっている。長年同店を利用してきた主婦からは、「子供の服やおもちゃ、寝具までここで揃えていた。閉店は本当に寂しい」といった声が聞かれる。また、別の利用者は「若い頃によく通った場所。時代の移り変わりを感じる」と語った。
伊勢丹シンガポールは最盛期の2013年に国内6店舗を展開していたが、2022年の伊勢丹カトン店閉店以降は縮小傾向にあり、タンピネス店の閉鎖後はスコッツ店とセラングーン・セントラル店の2店舗のみが営業を継続する。
同社は2024年8月に親会社である伊勢丹三越ホールディングスが全株式を取得し、完全子会社化。シンガポール証券取引所からは上場廃止されている。広報担当者は「地域の状況や将来的な収益性を慎重に検討した結果の判断」とし、今後もシンガポールの小売市場において事業適応を進めていく意向を示した。
閉店に先立ち、クリアランスセールも予定されており、詳細は後日発表される見通しである。