2025年2月3日
清掃作業員から不正に金銭を受領した管理者に禁錮刑
シンガポール・ニー・スン・イーストの清掃作業員が、管理者に不正な金銭を支払っていたことが明らかになった。2020年11月、匿名の通報を受けたシンガポール労働省(MOM)は調査を開始し、約30人の労働者に事情を聞いた結果、清掃会社リアン・チェン・コントラクティングの元運営管理者、デリック・ホー・チアック・ホック(55)を逮捕した。
ホーは2014年から2020年にかけて、バングラデシュ人労働者57人から就労許可証の更新費用として総額39万6,440Sドルを不正に徴収していた。ホーは2024年11月14日、外国人労働者雇用法違反で禁錮24週間の判決を受けた。MOM外国人労働者管理部門(FMMD)のアドリアン・クエック部長によると、これは同省がこれまでに調査した最大規模のキックバック事件の一つである。
調査では、労働者の証言に加え、ホーの自宅で見つかった32万6,305Sドルの現金や、外国人監督者の携帯電話に保存されていた現金の写真が重要な証拠となった。さらに、ホーが過去に受け取った金額を記録した帳簿も押収された。
労働者たちは長年、ホーに多額の金銭を支払っていた。元清掃作業員のラフマン・ルトフォル(37)は、4年間で6,000Sドルを支払い、貯金を使い果たし同僚から借金までしたと語る。彼は家族を養うために耐えていたが、「支払わなければ仕事を失うのではないかと恐れていた」と振り返った。
事件発覚後、MOMは労働者たちが支払った金銭を全額返還。ホーは拘束前に弁護士を通じて全額返済した。現在、ラフマン氏は建設会社のトラック運転手として働き、改めて貯蓄を始めている。
MOMによると、2021年から2023年の間に年間約70社がキックバック行為で摘発されており、その約30%が起訴され、残りは警告や罰金処分を受けた。政府は雇用主に詳細な給与明細の発行を義務付けるなど、労働者保護策を強化している。
シンガポールの外国人労働者支援団体TWC2のイーサン・グオ代表は、「労働者たちは仕事を得るために多額の借金を抱え、雇用を維持するために違法な支払いを強いられている」と指摘。彼は、こうした問題が続けばシンガポールで働くことを敬遠する外国人労働者が増え、企業の信頼も失われる可能性があると警鐘を鳴らしている。