2025年1月9日
シンガポール、2024年のデング熱症例が1万3,600件を超え、前年から36%増加
2024年、シンガポールでは1万3,600件以上のデング熱症例が報告され、前年の9,949件から36%以上の増加となった。
国家環境庁(NEA)の最新統計によると、デング熱症例の増加が見られたものの、「プロジェクト・ウォルバキア」および「地域社会の持続的な警戒」が大規模な感染クラスターの発生を防ぐ効果を発揮したとされる。特に2024年中頃の症例急増は大幅に抑制された。
「プロジェクト・ウォルバキア」は2016年に開始された取り組みで、研究室でウォルバキア菌を導入されたオスの蚊を作成し、高リスク地域に放出することで蚊の個体数を減少させる。これにより、環境中のメスの蚊がこれらのオスと交尾すると卵が孵化しなくなる仕組みである。
NEAの発表によれば、2024年12月29日から2025年1月4日の間に新たに110件のデング熱症例が報告され、前週より39件増加した。現在、シンガポールには14の活発な感染クラスターが存在し、ベドック、シックスアベニュー、アンモキオの3カ所が高リスク地域として指定されている。
シンガポールでは4つのデングウイルス血清型が流行しており、2023年9月以降はデングウイルス血清型2(DenV-2)が優勢である。同庁は「全ての血清型に対する市民の免疫が低いため、これらのリスク要因が引き続き存在する中で適切な対策を講じなければ、症例の急増につながる可能性がある」と警告している。
国際感染症学会の前会長ポール・タンビヤ教授は、2024年の症例増加の主な原因は、優勢なウイルス血清型の変化にあると指摘。「血清型が切り替わると、多くの市民が流行中の株に免疫を持たず、症状が出る感染が増加する」と述べた。また、2024年は記録的に暑い年であり、湿気と高温が蚊の活動を活発化させた可能性もあるとした。
NEAは、市民に対し、環境中の停滞水を取り除き、清掃を徹底して繁殖スポットを防ぐよう呼びかけている。