2024年12月20日
ひき逃げ事故で歩行者死亡、デザイン会社取締役に禁錮1年の判決
2022年10月29日未明、シンガポール市内で発生したひき逃げ事故で、スピード違反のメルセデス・ベンツを運転していたデザイン会社の取締役コー・チュウ・ワ被告(37)が歩行者を死亡させたとして、禁錮1年の刑が言い渡された。被害者は薬剤師のダビン・ン氏(26)で、事故後病院で死亡が確認された。
裁判では、コー被告が事故後に現場から逃走し、証拠を隠滅しようと車を修理工場に持ち込んだことが明らかになった。検察は、これを「卑劣で非難に値する行動」と断じた。事故当時、コー被告の車は制限速度50km/hを大幅に超える70〜97km/hで走行していた。
被告は信号のある交差点で歩行者のン氏に衝突。監視カメラの映像には、衝撃で被害者が数m宙に放り出される様子が映っていた。事故後、被告は友人と車を放置し、私用車でその場を離れた。その後、車の損傷を修理するよう依頼したが、警察が工場で車を押収したため修理は行われなかった。
検察は、コー被告が事故を防ぐ努力を怠ったうえ、救助義務を果たさなかったと指摘。弁護側は被害者が信号無視で横断していた点を挙げて過失の低さを主張したが、裁判所は被告の行動が重大な結果を招いたと判断し、禁錮刑に加え、出所後8年間の運転禁止処分を科した。
本件は交通安全への警鐘を鳴らすものであり、運転者の責任の重要性が改めて浮き彫りになった。