2024年12月18日
シンガポールで導入進む「子ども専用口座」
シンガポールでは、子ども向けデビットカード「MyOwnアカウント」が人気を集めている。OCBC銀行が2023年10月に導入したこのサービスは、7歳から15歳までの子どもが自分名義のデビットカードを持てる仕組みである。発売から1ヵ月以上のアカウントが開設され、特に12歳から14歳の利用者が多い。
マーケティングマネージャーのウィー・ジェネーブ氏(44)は、自身の10歳と11歳の子どもたちにこのアカウントを開設。利用時に親がアプリで通知を受け取れるほか、1日の使用上限額やATM引き出し額などを設定できる点を評価している。たとえば、息子にはカード支払い80Sドル、ATM引き出し50Sドルの上限を設けているという。
また、デビットカードは子どもたちに予算管理やデジタル決済技術を学ばせる教育ツールとしても注目されている。起業家のミシェル・ワン氏(39)は、9歳の娘にカードを渡し、毎週お小遣いを送金。週末には残額を貯金に回す習慣を身につけさせている。娘のデシレーさんは「お小遣いの20%を貯金している」と語る。
一方で、現金派の親も少なくない。医療技術会社でラボマネージャーを務めるヘレイン・ワン氏(36)は、「現金でお金の計算を学ぶことが大切」と述べ、7歳の双子にはデビットカードを持たせていない。彼女の子どもたちの通う学校ではカード決済が導入されておらず、カードの利用機会も少ないという。
デビットカードは便利さや教育的価値がある一方で、使用法やタイミングは親の価値観や子どもの年齢により異なる。シンガポールでは、現金とデジタル決済の両方が共存する中で、親たちの判断が問われている。