2024年12月18日
2025年のシンガポールの給与上昇率、業界により2%から5%の範囲
シンガポールの労働者は、2025年に平均2%から5%の給与増加が見込まれている。複数の人事コンサルティング会社の調査によれば、業界ごとにその見通しは異なるが、全体として慎重な給与改定が予想されている。
Aonの東南アジアタレントアナリティクス部門ディレクター、チェン・ワンフア氏は、「企業は不確実な時代を乗り切るため、対象を絞った給与引き上げを選択している」と指摘。同社の調査では、シンガポールの給与増加率は4.4%と予測され、インドネシアやタイに遅れを取る結果となった。
一方、Mercerの調査では、平均4%の給与増加が見込まれるとし、特に医療や教育分野では市場平均の3.6%から4%の範囲での増加が予想されている。技術分野と医療分野ではデジタルトランスフォーメーションやサイバーセキュリティの需要増加を背景に、平均を上回る給与上昇が見込まれるという。
ロバート・ウォルターズの調査では、企業に留まる従業員の給与増加率は2%から5%とされるが、転職者は10%から15%の上昇が期待できる。特に販売促進や会計・財務分野の転職者にとって有利な市場が続く見込みである。
また、Jobstreet Expressのデータによると、非管理職の中では販売プロモーターや倉庫作業員が2024年にそれぞれ32%と30%の給与増加を記録しており、2025年も高い増加率が予想されている。
さらに、ManpowerGroupによると、エネルギー・ユーティリティ分野では従業員全員が最低1か月分以上のボーナスを受け取る見通しであり、全業界でのボーナス増加傾向が確認されている。
企業はインフレ対応や人材確保の競争力を維持するため、給与やボーナスを戦略的に調整している。特に医療や技術分野など一部の業界では、2025年に他業界を上回る給与上昇が期待される。