2024年12月10日
シンガポールの求人件数、第3四半期に減少も年末需要に期待
シンガポールの雇用市場において、2024年第3四半期は高スキル・高賃金セクターでの居住者雇用が大幅に増加した一方、求人件数は減少した。ただし、失業者数を上回る求人が依然として存在している。
シンガポール人材開発省(MOM)が12月9日に発表したデータによると、2024年9月時点の求人件数は6万3,400件で、6月の8万1,200件から減少している。この減少は、2022年3月に記録したピークの12万4,400件から続く緩やかな下降傾向を反映している。
特に、建設業、運輸・倉庫業、製造業では、ワークパーミット保持者による低スキル職の充足が影響している。一方、失業者1人に対する求人件数の比率は9月に1.39倍となり、6月の1.67倍からやや低下したものの、依然として労働需要が高い状態が続いている。
MOMは年末の祝祭シーズンの始まりにより、労働需要がさらに活発化すると予想している。また、パンデミック後は雇用主が求人をより適切に充足できていることが示唆されており、第3四半期の退職率は1.3%と、2022年の1.7%から減少している。
MOMは「労働市場は低失業率で引き続き逼迫した状態にあるが、求人の充足が進むにつれ、求人件数や求人・失業者比率がパンデミック前の水準に向けて徐々に調整されるだろう」との見解を示している。
メイバンク投資銀行のエコノミスト、ブライアン・リー氏は、外国人労働者の復帰により、以前から存在していた求人が埋められた可能性があると指摘。特に、地元住民が敬遠しがちな職種でその傾向が顕著であるという。