2024年11月26日
シンガポールのコアインフレ率、3年ぶりの低水準に減少
シンガポールのコアインフレ率が2024年10月に2.1%となり、2021年12月以来の最低水準に達した。この数字は9月の2.8%から大幅に減少し、経済学者の予測を下回った。
コアインフレ率は、家計の実態をより正確に反映するため、民間輸送や住居費を除外して算出される。この減少の主な要因は、サービス、電気・ガス、小売品などの価格上昇が鈍化したことにある。また、総合インフレ率も10月に1.4%に低下し、こちらも2021年3月以来の低水準となった。
金融管理庁(MAS)と貿易産業省(MTI)は、世界的なインフレが緩和し、シンガポールドルの為替レートが強まったことが、輸入品の価格低下につながったとしている。2024年のコアインフレ率は年間平均で2.5~3%と予測され、2025年には1.5~2.5%にさらに低下すると見られている。
ただし、住居費のインフレ率は減少するものの、民間輸送費の増加が一部で見込まれるため、総合インフレ率は2024年に2.5%、2025年には1.5~2.5%と予測されている。
また、電気・ガスの価格上昇率は10月に6.3%から2.5%に急落し、小売品価格のインフレ率も0.8%から0.1%に低下した。食料品の価格は2.6%で横ばいだったが、住宅賃料の上昇ペースが緩やかになったことで住居インフレ率もわずかに減少した。
MASの通貨政策に関しては、コアインフレ率が目標水準に近づけばシンガポールドルの上昇ペースが緩やかになる可能性があるとする見方がある一方、世界的な不確実性を背景に慎重な姿勢を維持する必要があるとの意見も出ている。