2024年11月20日
シンガポール、精神健康への理解が向上し偏見が減少
シンガポール国民の精神健康への理解が向上し、関連する偏見が減少していることが、精神健康研究所(IMH)の調査で明らかになった。調査によると、約6割の国民が認知症やうつ病、統合失調症などの一般的な精神疾患を正しく認識できるようになっている。
この「マインド・マターズ」調査は2014~2015年に初めて実施され、2022~2024年に再度行われた。最新の調査結果によれば、認知症、うつ病、アルコール依存症、強迫性障害(OCD)など5つの疾患を正しく認識できる人の割合は58.9%で、初回調査時の42.3%から大きく上昇した。また、ギャンブル依存症や自殺傾向を伴ううつ病を含めた7つの疾患を認識できる人の割合は63.3%に達した。
調査結果は11月19日、ソーシャル・ファミリー開発省のスン・シュエリン国務相が発表した。同氏は、若者や女性、高学歴者ほど精神疾患に対する偏見が少ない傾向があると指摘。特に18~34歳の若年層では、教育機関やSNSを通じた情報提供が理解向上に寄与していると述べた。
調査は、18~67歳のシンガポール市民および永住者4,195人を対象に実施された。最も認知度が高かった疾患は認知症(83%)、ギャンブル依存症(77.1%)、自殺傾向を伴ううつ病(72.1%)だった。一方で、OCD(62.3%)と統合失調症(15.1%)の認識率は依然として低いものの、OCDの認識率は初回調査時の28.7%から倍増している。
また、調査は偏見の評価も行い、「精神疾患のある人は危険で予測不可能」「個人の弱さの表れ」などの偏見が減少していることが分かった。ただし、ギャンブル依存症やアルコール依存症に関しては、個人の選択と見なされる傾向があり、偏見が根強いとしている。
IMHの研究者らは、これらの疾患への理解を深めるため、より共感を促す公教育が必要だと強調した。