2024年6月10日
2024年後半のラニーニャで降雨予測も、シンガポールの暑さは続く見込み
2024年後半にラニーニャ現象の影響で雨が多くなると予想されているが、暑さは和らぎそうにない。気象庁(MSS)によると、ラニーニャ現象はエルニーニョの影響と重ならないためという。
エルニーニョは東南アジアとオーストラリアに乾燥と高温をもたらし、ラニーニャは湿潤で涼しい気候をもたらす。両者は数年ごとに交互に発生し、エルニーニョ・南方振動(ENSO)として知られている。
エルニーニョのピーク温度の影響は2024年3月から4月にかけての減退期に見られた。現在のENSOステータスは中立で、7月までこの状態が続くと予想されている。
MSSは、2024年後半にラニーニャ条件が発生する確率を60〜70%と予測している。最近の数ヵ月間、東部熱帯太平洋で冷却された海洋温度が観測されており、これはラニーニャの前兆という。
国連の世界気象機関(WMO)は、7月から9月にかけて60%、8月から11月にかけて70%の確率でラニーニャが発生するとしている。
ラニーニャの強さとピークの時期によって、2024年の年間平均気温が2023年の28.2℃を上回るか下回るかが決まる。また、長期的な温暖化傾向も考慮する必要がある。
エルニーニョ期間中の2023年6月から2024年4月にかけての各月は、世界的な温度記録を更新した。ラニーニャは特に6月から9月の南西モンスーン期間中にシンガポールで降雨をもたらすが、この期間は通常乾燥期である。
MSSは、ラニーニャの予測のタイミングと強さについて明確な指標はまだなく、ラニーニャの発生の1ヵ月前にいくつかの指標が現れる可能性があるとしている。
南洋理工大学の地球観測研究所のシニアリサーチフェローであるドルバジョティ・サマンタ博士は、「現時点での予測では弱いラニーニャの発生が示されている。そのため、影響も強くない可能性があります」と述べている。
ラニーニャが越境ヘイズを防ぐかどうかについて、MSSは「ラニーニャ時のヘイズ発生の可能性は通常低いが、火災の場所や風向によっては発生する可能性がある」と述べている。
ラニーニャの期間中でも、時折乾燥した暖かい天気が予想される。前回のラニーニャ現象は2020年から2023年初頭まで特に長引き、シンガポールでは2022年10月に過去40年間で最も多い412mmの降雨を記録したが、年間気温は1929年の記録開始以来10番目に高い値を示した。
サマンタ博士は、「エルニーニョは地球温暖化に加えて引き金となっただけである。ラニーニャの存在下でも、温暖化と大気および海洋に蓄積された過剰な熱を無視することはできまない」と強調する。