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社会

2023年3月8日

リー・シェンヤン氏、シンガポールに戻らないことを示唆

 リー・シェンヤン氏は3月7日(火)、自分と妻のリー・スエットファーン氏に対する警察の捜査が続く中、自分はシンガポールに帰らないかもしれないと述べた。
 
 リー・クアンユー初代首相の弟で、リー・シェンロン首相の弟でもあるリー氏は、Facebook投稿で、妹のリー・ウェイリン氏の具合がよくないとも述べた。
 
 妹と再び顔を合わせることができそうにないことが、言葉にならないほど心苦しいと投稿している。
 
 リー・ウェイリン氏は、2020年8月に「進行性核上性麻痺」と診断され、身体の動きが鈍くなり、やがて行動変化が顕著な認知症に至る脳の病気である。
 
 リー氏の今回の発言は、テオ・チー・ヒーン上級大臣が国会で、警察がリー氏とその妻を宣誓下の嘘の可能性があるとして捜査を開始したことを明らかにした数日後のことである。
 
 リー夫婦は、当初同意していた警察の事情聴取を拒否して2022年6月にシンガポールを離れたと、テオ氏は文書で回答している。
 
 2015年3月23日に91歳で亡くなったリー・クアンユー氏の遺書の取り扱いをめぐり、2020年、3人の裁判官と懲戒法廷が、弁護士であるリー・スエットファーン氏の対応をめぐる懲戒手続きにおいて、夫妻が宣誓の上で嘘をついたと認定した。
 
 リー・スエットファーン氏は、遺言書の作成と執行に関与したことで、弁護士協会から懲戒審判を受けた。懲戒法廷によると、リー・クアンユー氏は遺書を6回作成し、顧問弁護士のクワ・キムリー氏が立ち会ったが、最後に立ち会った数日後の2013年12月16日夕刻、スエットファーン氏は自分が用意した遺書をクアンユー氏に提示し、クアンユー氏は翌日昼前、それに署名し、これが最後の遺書となった。
 
 最後の遺書の内容は最後から2番目の遺書と大いに異なる点があるが、その相違点をスエットファーン氏はクアンユー氏に詳しく説明しなかった。最後の遺書には、それ以前に作成された遺書には含まれていない、家の取り壊し条項が含まれていた。
 
 スエットファーン氏は懲戒法廷での反論で、自分はクアンユー氏の弁護士としてではなく、義理の娘として、家族の一員として夫(シェンヤン)の言葉に従いクアンユー氏にアドバイスしただけと釈明した。
 
 司法長官院が事務弁護士会にスエットファーン氏の夫が遺言の受益者だったことから、弁護士として不適当な行為があった疑いを申し立て、同会が懲戒法廷の開設を首席裁判官に要請した。
 
 懲戒法廷は、スエットファーン氏はクアンユー氏の弁護士として遺言にかかわり、弁護士としての清廉・誠実さを欠く卑劣な行動をとったと結論付けた。
 
 スエットファーン氏は、15ヵ月間の弁護士としての業務停止処分を受けている。
 
 リー・シェンヤン氏は、欧州からのブルームバーグ通信の電話インタビューに対し、2023年9月までに召集されると予想される次期大統領選挙への出馬を一部から打診されていて、検討する意向であると述べたが、複数の弁護士や法学者は、シェンヤン氏が宣誓の上で嘘をついたという懲戒法廷による結論が、立候補の可能性に影響するかもしれないと述べている。

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