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社会

2022年10月25日

人材獲得のため、週休4日制を導入する企業が増加

 COVID-19が大流行したとき、この地域のある歯科医院では、従業員に年俸を上げる代わりに、毎週1日余分に休日を与えることにして、人材の確保に努めた。
 
 DPデンタルは、この勤務体系を導入して以来、離職率が少なくとも半分に減ったので、現在も、週休4日制を継続しているという。
 
 シンガポールでは、労働市場が逼迫するなか、労働者を惹きつけ、維持するために週4日勤務を採用する企業が増えている。そして、多くの労働者が週休2日制の導入に積極的であるという。
 
 1,000人の労働者を対象にした調査で、81%が「週休4日制を希望する」と回答した。消費者調査会社ミリューインサイト(Milieu Insight)が先月行った世論調査では、週休4日を望む人の4分の3以上が、ワークライフバランスの充実を重要な利点と考えていることが明らかになった。
 
 しかし、このような配置は誰にでもできるものではないと、DPデンタルの最高経営責任者であるルイザ・リー氏は言う。コバンとオーチャードにある彼女のクリニックでは、フロントスタッフや歯科外科医など約40人の従業員が働いている。
 
 中には、海外から来て独身で、母国の家族をサポートするためにシンガポールに来ている人もいる。このような人たちのためには、週に4日半、あるいは5日にまで労働時間を増やしたという。
 
 一方、パンデミック時に離職者が出た食品・飲料事業のコリアンダーリーフグループは、数ヵ月前から新入社員に週休4日制を導入し、経験豊富なプロフェッショナルを呼び込もうとしている。
 
 コリアンダーリーフグループの最高責任者であるラジーブ・パンジワニ氏は、私は単純に(元社員は)ローテーションしているのであって、状況が戻ればまたこの業界に戻ってくると思っていたが、2年も経つと他の業界に移ったのか、業界全体でF&B業界のプロフェッショナルが不足していると述べた。
 
 この新しい勤務形態は、ここ2週間ほどで浸透してきた。プロフェッショナルがより良い(ワークライフバランスを)求めていることは分かっているが信じがたいことだと彼はいう。
 
 最近採用した社員が、『週休4日制にする』と言い出したので、ゆっくりではあるが、歯車が回っていることがわかると付け加えた。
 
 しかし、コリアンダーリーフは、まだ既存のスタッフに週休2日制を適用するつもりはなく、まずは2ヵ月間、新入社員の生産性を観察する予定という。
 
 もし、生産性が上がらないようであれば、労働時間の短縮分を雇用で補うことになるかもしれないという。
 
 シンガポール人的資源研究所の副所長であるセドリック・チュー氏は、週休2日制が必ずしも生産性の低下を意味するとは言い切れないが、ビジネスコストは上昇するかもしれない。もし、人を増やさないのなら、その分、自動化などを進める必要があるかもしれないが、これは悪いことではない。当初はビジネスコストが上がるが、例えば1回限りなら経常的なコストにはならない。それで実際に長い目で見て生産性が上がるのであれば、それは良いことだと思うと述べた。
 
 先月、週休4日制に関する国会質問が広く共有され、その中で、ガン・シオ・ファン内閣府特命担当大臣(教育・労働担当)は、週休4日制について、雇用者と被雇用者が「柔軟な考え方」を持つべきであると発言していた。
 
 週休4日制は、多くの種類の柔軟な勤務形態の一つであり、同省は、三者構成組織のパートナーとともに、雇用者と従業員に対して、あらゆる形態の柔軟な勤務形態を受け入れ、独自のビジネスニーズと労働者のニーズに最も適したものを特定し採用することを強く奨励すると述べた。
 
 ガン氏は、このような動きがビジネスコスト、生産性、労働者の福利厚生にどのような影響を与えるかについて、関係者が懸念している。また、週休4日制は、雇用主や従業員によってはうまくいく場合もあるが、そうでない場合もあるという

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