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経済

2022年8月11日

シンガポール、2022年のGDP成長率見通しを3%~4%に引き下げ

 シンガポールは、インフレや持続的なサプライチェーンの混乱といった課題の中で世界的な経済環境がさらに弱まる中、2022年の成長率予測を引き下げた。
 
 シンガポール通産省(MTI)は8月11日(木)、今年の国内総生産(GDP)が3〜4%となり、従来の3〜5%の範囲から狭まる見通しであると発表した。
 
 政策立案者は5月に、今年の成長率は3〜5%という予測範囲の下半分にとどまる可能性が高いと警告していた。
 
 MTIは、5月の前回の評価以来、世界の経済環境は「さらに悪化」していると述べた。
 
 予想以上に強いインフレ圧力と中央銀行による積極的な金融引き締めが、米国やユーロ圏など主要先進国の成長に重くのしかかるという。
 
 中国は、不動産市場の低迷の深刻化や国内で繰り返されるCOVID-19の流行に引き続き悩まされており、ロシアとウクライナの紛争や中国のCOVIDゼロ政策などの要因が残っていることから、サプライチェーンの混乱は今年いっぱい続くと思われると述べている。
 
 シンガポール経済の外需見通しは、3ヵ月前と比較して弱くなっているとMTIはレポートで述べている。
 
 一方、世界経済の下振れリスクは引き続き「重要」である。
 
 その中には、ウクライナ戦争がさらに激化する可能性、先進国での金融引き締めに対する市場の無秩序な調整、地域の地政学的緊張の激化、COVID-19パンデミックの軌跡などが含まれる。
 
 これは、シンガポールの一部の対外向け部門の見通しが暗くなったことを意味するとMTIは述べている。
 
 例えば、シンガポールの化学品クラスターや卸売業部門の燃料・化学品分野の成長見通しは、シンガポールからの石油・化学製品の主要市場である中国の経済見通しが弱まったことにより、悪影響を受けることになった。
 
 水運および金融・保険セクターの成長も、主要な外部経済の減速が予測されるため、影響を受けると思われる。
 
 一方、シンガポールは、国内および国境の規制がほぼすべて撤廃され、COVID-19との共存に移行している。その結果、航空・観光関連など、一部の経済分野の回復を支えている。
 
 MTIの報告によると、第2四半期の経済成長率は前年同期比4.4%で、政府の事前予測値4.8%より低いが、第1四半期の3.8%より速い成長率を記録した。
 
 季節調整済みの前期比では、4~6月期のGDPは0.2%の微減となり、当初予想の0.9%を下回り、第1四半期の0.8%の拡大から一転して縮小した。
 
 成長は主に製造業、その他サービス業、情報通信業に支えられた。

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