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2022年8月5日

スーパーマーケットのハウスブランドが人気!何故、安いのか

 スーパーマーケットは近年、ハウスブランドのポートフォリオを飛躍的に拡大しており、インフレにより同じ金額で購入できるものが縮小しているため、より多くの消費者がハウスブランドを利用している。
 
 NTUC FairPriceのPasarとFairPrice、DFI Retail GroupのMeadows、Sheng SiongのTasty Bites、Heritage Farm、Happy Familyなどが、それぞれのスーパーマーケットのブランドとして販売されている。
 
 1985年にシンガポールで初めてハウスブランドを導入したFairPriceは、ハウスブランド製品の品揃えが過去2年間で25%拡大しているという。
 
 GiantとCold Storageを運営するDFI Retail Groupは、Meadowsの商品レンジを過去2年間で10倍以上に拡大した。
 
 オンライン小売業者のRedMartでさえ、同じ期間に自社ブランド商品の種類を40%以上増やした。
 
 また、インフレによる消費者の圧迫から、大手スーパーマーケットチェーンは価格を据え置くか、特定の定番商品で割引を行うようになった。
 
 しかし、スーパーマーケットは、低価格を実現しながら、他のブランドの品質に匹敵することができるのだろうか。
 
 SG Budget Babeのライターであるドーン・シェール氏(32)は、20代前半から「かなりの数の」ハウスブランドを使っており、たとえば彼女が使っていたフェイシャルコットンは、化粧を落とす前にコットンがボロボロになっていたが、今は、確実に品質が良くなったと評価する。
 
 シンガポール最大のスーパーマーケットチェーンでは、品質と価格の問題を解決するために、55ヵ国以上、450のサプライヤーから商品を調達し、できるだけ低いコストで提供できる適切なサプライヤーを探している。製造工場と小売店の間に中間業者が介在している場合があるが、私たちは、製造工場やサプライヤーと直接取引することで、コスト削減を実現し、消費者に還元している。メーカーがスーパーのハウスブランドで製品を販売したい理由について、一部のメーカーは過剰な生産能力を持っており、生産能力を最適化するためにハウスブランドを含む「複数のブランドと協力することに前向き」であると、FairPrice Groupのシニアディレクター兼自社ブランド(小売)責任者のマーカス・ウォン氏は述べた。
 
 自社ブランドのマーケティングとブランディングに関しても、FairPrice は「(過剰な)投資をしない」。例えば、自社のフレーバーミルクやUHTフルクリームフレッシュミルクには、「サプライヤーからの標準パッケージ」を選択した。
 
 発売当初、FairPriceは「最初の認知度を上げるために、ある程度の(ブランド)コミュニケーション」を確立した。その後、この牛乳を試した消費者からのクチコミを頼りにしている。そのため、販売や認知度を高めるためにマーケティング費用をかけ続ける必要がないとウォン氏は言う。
 
 FairPrice のハウスブランドの売上は、過去 3 年間で 20%増加している。
 
 また、Talking Pointの調査によると、500人の回答者のうち51%が、1年前と比較してハウスブランドの購入を増やしていることがわかった。これらの製品を選ぶ主な理由は価格だという。
 
 シンガポールのコアインフレ率(宿泊費と自家用交通費を除いたもの)は、2008年11月以来の高水準に達している。
 
 サービス、食品、小売、電気・ガスなどのカテゴリーで価格上昇が強まり、5月の3.6%から6月には前年同月比4.4%の上昇となった。
 
 しかし、ハウスブランドは必ずしも棚に並んでいる商品の中で一番安いとは限らない。なぜなら、スーパーマーケットは顧客ニーズの変化に対応し、ハウスブランドの品揃えを必需品以外にも広げているからという。
 
 中には、より特殊で洗練された嗜好を持つ消費者層に対応した商品もある。例えば、FairPriceのオーガニック・エクストラバージンココナッツオイルなどである。
 
 ウォン氏は、私たちはデータを見て、(顧客の)ニーズを満たすために品揃えを拡大する機会がどこにあるのかを考えているという。
 
 一方、オンライン食料品店のRedMartは、いくつかの自社ブランドについて別の戦略を採用している。一部のメーカーと提携し、RedMartとメーカーの両方の名前をパッケージに使用した共同ブランド製品を展開している。
 
 そのひとつが、ミシュランのビブグルマンに選ばれたフィッシュボール麺の店、フィッシュボールストーリーとのコラボレーションである。
 
 RedMart x Fishball Story Yellowtail Fish Balls(15個入り、300g)は1パック6Sル(約580円)で、少し割高だとTalking Pointのホスト、ダイアナ・サー氏は感じているという。
 
 Lazada SingaporeのRedMartと食料品部門の責任者であるジョリン・ホァン氏は、このコラボレーションの目的は、ハウスブランドに対する人々の認識を高めることではなく、顧客に幅広い品揃えを提供すること。また、外のスーパーマーケットや他のオンライン・スーパーマーケットでは見つけられないような、より美味しい代替品を提供することだと述べた。
 
 最終的には、トイレットペーパー、ビスケット、米、食器用洗剤などの日用品でハウスブランドを選べば、お金を節約することができるという。
 
 例えば、サー氏がハウスブランドをカートに積んで買い物した場合の食費は45.40Sドル(約4,390円)で、ハウスブランドでないものを購入した場合の64.40Sドル(約6,230円)に比べて30%(約1,840円)安くなった。
 
 スーパーのハウスブランドが進化・拡大し、その結果、選択の幅が広がるのであれば、それは私たちの勝利であると彼女はいう。

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