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社会

2022年4月1日

電気料金が今後3ヵ月で10%上昇

 ロシアとウクライナの戦争が長引く中、ほとんどの家庭で今後3ヵ月間の電気料金が約10%上昇することになる。
 
 4月1日(金)から6月30日(木)までの電気料金は、物品サービス税(GST)を除き、1キロワット時(kWh)あたり27.94セントになると、送電網運営会社のSPグループは3月31日(木)に発表した。これは、現在の1kWhあたり25.44セントから上昇したものである。
 
 SPグループによると、4部屋あるハウジングボードのフラットに住む世帯(通常、月に約349kWhの電力を消費する)は、月平均の電気代がGSTを除いて8.73Sドル(約790円)上昇し、前四半期のほぼ倍の上昇を予想するという。
 
 SPグループは、この増加は、主に、ウクライナ紛争にともなう世界的なガス・原油価格の大幅な上昇に起因するエネルギーコストの増加によるものだと述べている。
 
 ここ数ヵ月、ガス価格が記録的な高水準に達した後、世界的に電力価格が上昇している。これは、パンデミック対策による予想外のガス需要、悪天候、世界的なガス供給量の減少などの要因が重なったことによるものだという。
 
 世界的なエネルギー危機は冬の訪れとともに緩和されると予想されていたが、5週間前にロシアがウクライナに侵攻して以来、石油とガスの生産不足の懸念がエスカレートしている。ロシアは世界の石油供給の12%、天然ガスの17%を握っている。
 
 ガスや石油に障害が発生すると、電力需要の約95%を輸入ガスに頼っているシンガポールのようなガス輸入依存の国にも影響が及ぶ。
 
 シンガポールの電力料金は、4つの要素から算出される。原油価格に連動して輸入される天然ガスのコストを反映した燃料費が、料金の約半分を占めている。残りは、発電所のメンテナンス、検針、送電網を通じた電力輸送などの活動に関連するその他のコストである。
 
 今期の電気料金は、燃料費に連動して上昇しており、今年第1四半期と比較して約20%上昇している。
 
 それでも、今後3ヵ月間の改定後の料金体系は、過去10年間のピークである2012年第2四半期の1Kwhあたり28.78セント(GSTを除く)や、シンガポールで最も高い料金体系を記録した2008年第4四半期の1Kwhあたり30.45(GSTを除く)を下回る水準にとどまる。
 
 今回の規制値上げは、電力価格が不安定な中、シンガポールがエネルギー供給の確保と消費者支援に向けた取り組みを強化する中で行われたものである。
 
 SPグループが設定する規制対象の電気料金は、四半期ごとに見直され、業界の規制機関であるEMA(Energy Market Authority)の認可を受ける。
 
 この地域の約半数の家庭は、SPグループから規制料金で電気を買っている。その他の消費者は、小売業者と固定価格プランを組んでいるため、契約更新をするまで値上げを見送ることになる。
 
 木曜日、EMAはエネルギー安全保障措置の延長と、大口電力利用者が一時的な固定価格契約を確保するためのスキームを1ヵ月延長すると発表した。
 
 これとは別に、シンガポール財務省は、今年の予算で発表されたように、住宅局のアパートに住む約95万世帯の低・中所得者に、GSTやその他の生活費をまかなうためのバウチャーが支給されると発表した。
 
 これらの世帯に配布されるバウチャーは、1ルームや2ルームのフラットに住む平均的な世帯の公共料金の約8〜10ヵ月分、3ルームや4ルームのフラットに住む世帯の約4〜6ヵ月分に相当する。

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