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政治

2022年1月25日

【最新】オミクロン株対策まとめ

 1月21日、シンガポール保健省(MOH)は、オミクロン株対策として下記の通り公表した。
 

国内感染状況

 COVID-19の状況は引き続き制御されており、ICUで治療を受けている人は1月20日現在14人と低い水準にとどまっている。これは、先週一日あたり約800人であったPCR陽性者数が、1月20日には1,472人となり、輸入症例339人に対して国内症例が1,133人と大多数を占め、増加しているにもかかわらずだ。同時に、プロトコル2の適用拡大に伴い、抗原迅速検査(ART)で陽性となる人が増えている。この1週間で、医療機関でART陽性と判定されたのは1日平均約800人。
 
 今後、より感染力の強いオミクロン株の波が広がることで、感染者数が急増することが予測される。感染者は2日から3日ごとに倍増し、1日あたり1万人から1万5千人、あるいはそれ以上に達する可能性がある。しかし、国内外のデータでは、オミクロン株はデルタ株に比べて重症化しにくいことが分かっており、南アフリカやイギリスのデータを参照すると、入院者数や死亡者数の増加は、全体の感染者数の急激な増加に比べて緩やかであることが予測される。
 
 オミクロン株は重症化の程度が低いため、感染者数ではなく、ICUでの治療数に注目すべきだとMOHは主張する。しかしながら、オミクロン株は感染力が強いので、油断は禁物でもある。全体の感染者数が無秩序に増加すると、病院やICUでの治療が追いつかなくなる可能性があるためだ。特に高齢者のワクチン未接種者は、感染や重症化から身を守ることができないため、今後も急性期医療を必要とする重症者数の多くを占めると考えられている。60歳以上でワクチン未接種の感染者では12%がICUで重症化または死亡したのに対し、同じ年齢層でワクチン接種を完了していた感染者で重症化したのは1%だった。
 
 オミクロン株は感染力が強く、全体の感染者数が増えるため、重症者数も先のデルタ波より多くなる可能性がある。これにより、再び医療体制が圧迫される恐れがあるため、ワクチン未接種の場合は早急にワクチン接種をするようMOHは要請。また、初期接種が終了し、ブースター接種を受けることが可能な場合は、できるだけ早く接種し、感染者が増加する中でCOVID-19に対する防御力を最大化することが強く推奨される。
 

エッセンシャル・サービスを守るために

 オミクロン株の波を経験した諸外国と同様に、従業員の感染者が多くなると、業務に支障をきたす恐れがある。たとえ軽症、あるいは無症状でも、感染した従業員を隔離することが必要になるためだ。特に生活に不可欠なサービスを提供している企業では、チーム分けなどの強固な事業継続計画を確保し、職場での安全管理措置(SMMs)を厳守し、感染を最小限に抑える必要がある。職場に復帰する場合は、定期的な自己検査が推奨される。体調不良の場合は、医師の診断を受け、職場への立ち入りを避けること。
 
 このような状況下で、医療体制を十分に機能させることは難しい課題だ。感染者や医療従事者、特に弱者を守るため、1月24日から2月20日の4週間、すべての病棟および在宅介護施設(以下「ホーム」)への訪問が停止される。この期間中、病院とホームは、患者・入居者が重篤な状態にある場合など、例外的に面会を許可する裁量権を有する。訪問者は、訪問者管理措置の対象となる。患者・入居者が大切な人とつながりを保てるように、病院やホームでは電話やビデオ通話などの代替コミュニケーション手段が引き続きサポートされる。
 

ヘルスケアプロトコルの調整

 国立感染症センター(NCID)の研究によると、オミクロン株感染症のウイルス量は、感染期間を通じてデルタ株感染症より低いことが分かっている。この事とオミクロン株の感染期間が短いことを考慮し、プロトコル1、2ともに、ワクチン接種完了者と12歳以下の子どもの最大隔離期間が10日から7日に短縮される。なお、12歳以上のワクチン未接種者の最大隔離期間は、プロトコル1、2ともに14日に据え置きとなる。
 
 1月6日以降、ヘルスケアプロトコルは、COVID-19感染者の症状の重さと個々のリスク要因に基づいた管理に重点を置いている。症状が軽い低リスクの人は、医療従事者が実施する抗原迅速検査(ART)を通じてかかりつけ医などが直ちに診断し、プロトコル2の下で安全に回復する。一方、医師が高リスク(例:高齢者、妊娠中、小児科、免疫不全状態など)と評価した人、または症状が重い(例:胸痛、息切れ、長引く発熱など)人はプロトコル1の下で管理される。これらの高リスクの感染者については、保健省(MOH)の自宅療養プログラムに参加するか、療養施設でさらに管理または監視するかについても評価の対象。自己ART検査で陽性となった場合を含め、低リスクの無症状感染者は、引き続きプロトコル2に基づいて管理される。
 
 既にプロトコル2の適用年齢は拡大されており、ワクチン接種の有無にかかわらず、5歳から11歳の子どもも対象となっている。子どもを含め、緊急を要する症状のない人は、病院での治療を避け、かかりつけ医に相談すること*。潜在的なリスクがある人は、非臨床検査(例:管理者のいない、あるいは雇用者の管理下の自己スワブ検査)でART陽性となった場合、たとえ体調が良くても、医師の診断を受ける必要がある。

※感染の疑いがある方の診療を行っていないクリニックもあるため、クリニックに行く前に確認が必要。診療に対応しているクリニックはhttps://flu.gowhere.gov.sg/で検索できる。

 
 また、プロトコル1を受けていて、順調に回復し、症状が改善された感染者には、プロトコル2へのスムースな移行が許可される。つまり、最初にCOVID-19検査が陽性になってから72時間以上後の自己ART検査で陰性になれば、早期に退院し、通常の活動に復帰することができるようになる。
 
 この変更は今後数週間以内に順次施行される予定。COVID用治療施設(COVID Treatment Facilities)などのプロトコル1にいる低リスクの無症状者、出発前検査(PDT)、イベント前検査(PET)、定期検査(RRT)、渡航者の義務検査(到着時検査(OAT)や隔離(SHN)終了時の検査など)で陽性となった人に対しては、症状が許す限り、プロトコル2を適用できるように変更される。
 

水際対策の更新

ワクチントラベルレーン(VTL)検査体制の整備

 シンガポール政府は2021年12月31日、オミクロン株輸入症例の検出を促進し、市中感染を遅らせるため、VTL入国者に対する7日間の検査体制強化を、4週間延長すると発表した。これにより、より多くの人がブースター接種し、オミクロン株についての情報を得、そしてCOVID-19戦略に必要な調整を行う時間を確保したと評価。現在、輸入症例が全体の症例に占める割合は減少しているため、VTLの検査体制を簡素化する。
 
 上記の措置は今となってはあまり妥当ではないため、1月23日23時59分以降、 空路及び陸路でシンガポールに入国するVTL入国者は、到着後2日目から7日目の間、居住地や宿泊施設を離れる必要がある場合に限り、管理者なしの自己管理によるARTを行う。ARTの結果を提出する必要はないが、外出前には検査で陰性であることが必須となる。1月23日23時59分以前に到着したVTL入国者は、引き続き既存の検査体制(到着から2、4、5、6日目は管理者なしの自己管理によるARTを実施しオンラインで結果を提出、3、7日目は管理者付きのARTを実施)を継続する必要がある。ART検査(陸路のVTLでの到着時検査と、2日目から7日目の管理者のいない自己管理ART)で陽性となった入国者は、確認のためのPCR検査を受ける必要はないが、プロトコル2に従わなければならない。
 
 当面、シンガポールに入国するVTLの対象となる航空券およびバスのチケットは引き続き50%に制限される。政府は引き続き、国内及び世界のCOVID-19の感染状況を注視しながら、状況に応じた対策をとっていくという。
 

快復した渡航者の旅行促進

 世界的な感染者数の増加に伴い、COVID-19に感染した後に快復した渡航者も増えている。このような渡航者は、快復後も非感染性の微量のウイルスが検出されるため、感染リスクがないにも関わらず、COVID-19の検査で陽性となる可能性があるが、最近感染から快復したワクチン接種完了者は、COVID-19感染とワクチン接種によって高いレベルの免疫を獲得しているため、再感染の可能性は低いと考えられる。
 
 従って、1月23日23時59分以降に到着する渡航者で、ワクチン接種を完了し、更に COVID-19から快復した人(感染後90日以内)は、適切な証明書類を提出できる場合、全ての検査とSHN要件が免除される。ワクチン接種を完了していないCOVID-19の快復者は、出国前検査は免除されるが、その他の水際対策措置は全て適用される。これにより、海外に渡航する際にCOVID-19に感染し快復したシンガポール居住者が安心してシンガポールに帰国することができる。この免除の適用を受けるために搭乗時及び入国審査時に提示する書類の一覧はこちらを参照のこと。
 

ワクチン接種とブースター接種の強化

 ワクチン接種、特にブースター接種は、オミクロン株に対して効果が認められている。ブースター接種はこれまでのところ、オミクロン株感染者が増えることを抑制し、感染拡大や重症化を防ぐことに役立っているという。
 
 KK Women and Children’s Hospitalが5歳から11歳の子ども150人を対象に行ったCOVID-19ワクチン接種試験の50例の中間解析では、 ファイザーBioNTech/ Comirnatyの小児用ワクチンを2回接種した場合、全員が高い抗体値を得ていたことが示された。また、接種後の副反応については年長者に比べて低く、これまでのところ、副反応が原因で診察や入院を必要とする事例はない。シンガポール国内でこのような良好な結果が得られていることから、保健省(MOH)は5歳から11歳までの子どもたち全てにワクチン接種を推奨するとした。
 

ブースター接種プログラムの12歳から17歳までへの拡大

 保健省(MOH)とCOVID-19ワクチン接種に関する専門家委員会(EC19V)は、これまで18歳以上の全ての人に、国のワクチン接種プログラムで提供されるmRNAワクチンのブースター接種を初期接種終了から5ヶ月後に受けることを推奨していた。今回、これが12歳から17歳までに拡大される。2022年2月上旬から、まずは16歳と17歳で開始し、その後12歳から15歳までに対象を広げる予定。
 
 12歳から17歳までは、予約の際に保護者の同意が必要。初期接種の際に登録した保護者の携帯電話番号にSMSで個別の予約リンクが送られる。保護者は、送られてきたリンクにアクセスをし、ワクチン接種に同意をした上で、ブースター接種の予約をする。ファイザーBioNTech/ Comirnatyワクチンを提供している会場であれば、どのワクチン接種センターでも受けることができる。確認のため、接種の際には学生証、またはその他の身分証(出生証明書、旅券またはSingPass等)を持参すること。
 
 13歳以上の児童生徒の保護者は、ワクチン接種会場への付き添いは必要ない。12歳及び特殊教育(SPED)学校の児童生徒は、初期接種の取り決めに従って、保護者の付き添いが必要となる。保健省(MOH)と健康増進委員会(Health Promotion Board)はSPEDの学校と連携し、詳細については後日SPEDの学校から保護者に連絡する。
 
 12歳から17歳までで医学的にファイザーBioNTech/ Comirnatyワクチンの接種ができない場合は、専用の公衆衛生プログラムによるSinovac-CoronaVac をブースター接種することができる。このプログラムは、初期接種の際に医学的にファイザーBioNTech/ Comirnatyワクチンの接種に適さないとされた5歳から11歳までの子どもたちにも対象を拡大。この公衆衛生プログラムの対象となった場合は、訓練を受けた医療従事者による細心の管理が行われる。対象者には保健省(MOH)から詳細な案内がある。
 

ブースター接種要件の拡大

 2月14日以降、18歳以上で初期接種を完了しブースター接種の対象となっている人がワクチン接種完了者とみなされるのは、初期接種の最後の接種から270日間のみ。ブースター接種後は、引き続きワクチン接種完了者であるとみなされる。ブースター接種の対象拡大に伴い、3月14日以降、12歳から17歳も同様に、初期接種の最後の接種から270日間のみワクチン接種完了者とみなされ、その後引き続きワクチン接種完了者と見なされるためにはブースター接種が必要となる。
 
 COVID-19から快復し、ワクチンの初期接種が完了している場合*は、現時点ではブースター接種は必要ない。2月14日以降もワクチン接種完了者とみなされるが、その場合でも、最後の接種から5ヶ月後にはブースター接種を受けても問題はなく、ワクチン接種センターで接種を断られることもない。
 

※COVID-19から快復しワクチン初期接種を完了した場合とは、COVID-19に感染した時点で既に初期接種を完了していた人、COVID-19に感染した後にmRNAワクチンを有効量(またはシノバックを有効量2回)接種した人のこと。

 
 ブースター接種の対象となった12歳以上は、初期接種の最後の接種から9ヶ月以内にブースター接種を受けることが望まれる。また、Sinovac-CoronaVac ワクチンは、医学的にmRNAワクチンの接種が受けられない場合に限り使用される。3回接種の初期接種として、Sinovac-CoronaVacワクチンまたはSinopharmワクチンを2回以上接種した人は、ブースター接種としてmRNAワクチンを1回接種することが強く推奨される。
 

安全管理措置の更新

旧正月期間中の注意事項

 ・自宅訪問:社会的集まりは引き続き最大5人までとなっており、自宅を訪問できる人数は1日最大5名まで。訪問先に高齢者やワクチン未接種者がいる場合には、事前にART検査をすること。
 
 ・飲食店(F&B)での食事:F&Bでの会食やその他CNYの食事を含め、現在実施されているF&Bでのルールは継続される。社会的集まりは引き続き最大5名までであり、人数制限を超えた複数のテーブルの予約は、同一世帯である場合を除き、認められない。
 
 ・その他宗教・慣習的な活動:大規模のイベント、宗教・慣習的なものや宴会(会社が主催するものや、Tuan Baiを含む)は感染爆発を防ぐために引き続き認められない。
 

提供:在シンガポール日本国大使館

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