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政治

2022年1月7日

医療プロトコル改定とブースター接種の期限について

 1月5日、シンガポール保健省(MOH)は、オミクロン株対策措置として、医療プロトコルの改定、ワクチン接種完了状態を維持するために必要なブースター接種などについて公表した。
 
 シンガポールではこの1週間でオミクロン株の感染者数が増加。オミクロン株は感染力が強いため、デルタ株よりも大きな感染の波が発生する可能性がある。オミクロン株の重症度が低いこと、また、ワクチン接種やブースター接種による感染予防対策が継続されていることから、重症化するケースや死亡例は割合的には少ないかもしれないが、今後更に感染者数が増えていった場合、集中治療室(ICU)での治療を必要とする患者も多くなり、医療システムに大きな負担がかかることが予想されるという。このような事態に備え、適切な対応策を講じておくことが重要だと政府は判断した。
 
 オミクロン株への対策についても、これまでのコロナ対策と同様に、「プロトコル1、2、3」への移行や、専用施設での隔離ではなく自宅で療養させることなど、管理方法を変更してきたが、今後更に「プロトコル1、2、3」を強化することで、COVID-19感染者の対応を効率的に実施する。具体的には、症状が軽い低リスクのCOVID-19感染者が安全に療養できるよう、かかりつけ医等(primary care doctors)と連携し、「プロトコル2」の適応が可能になる。また、オミクロン株に対する予防効果を最大限に高めるため、ブースター接種を受け、各個人のワクチン接種を完了した状態が維持できるよう要請していく。
 

国内の状況およびオミクロン株の感染者検出に関する最新情報

 シンガポールにおけるCOVID-19の状況は、引き続き制御されている。この1週間、1日当たりの感染者数は平均して約200人で、現在16人がICUで治療を受けている。この数字は、数ヶ月前に感染者数のピークを迎えたときよりも大幅に減少しており、ここにきてデルタ株感染の波が収まってきたことを示しているという。
 
 しかし、デルタ株の波が収まる一方、オミクロン株の感染者は増え続けている。この1週間で、輸入症例が1,048人、国内症例が233人と、合計1,281人のオミクロン株感染者が確認されており、これは、先週1週間に国内で確認されたCOVID-19感染者数の約18%にあたる。オミクロン株は感染力が強いことから、近く、再び市中感染の波が到来すると予測されている。
 

医療プロトコルの改訂

 2021年10月11日以降、自己責任と自己管理への大幅な移行のなかで、政府は医療プロトコルを適切に簡素化。これにより、COVID-19感染者の大半は、陽性と判定された後も安全に自宅で自己隔離や自宅療養をすることができるようになった。自宅療養中の軽症感染者は、一般的には、追加で医療ケアの必要はなく、自宅で順調に快復している。また、オミクロン株は感染力が強い反面、重症化しにくいことが一般的に示されていることから、COVID-19感染者の管理を更に効率的に行うため、保健省は「プロトコル1、2、3」の運用を強化。2022年1月6日からは、以下のプロトコルに基づき、症状の重症度や健康状態に応じた管理を行う予定です。入院を避け、自宅で療養できるようにするため、かかりつけ医等(primary care doctors)が重要な役割を担う。
 
 症状の軽い低リスク患者については、かかりつけ医等が医療機関が管理する抗原迅速検査(ART)により速やかに診断を行い、プロトコル2に従ったケアを継続することが可能となる。かかりつけ医等の診断の結果、軽症で、重症化リスクが低いとされた場合の具体的対応は次のとおり。
 


 a. 最低72 時間は自宅隔離を行う。その後、体調が良ければ、自己検査によるARTが陰性になった時点で、プロトコル2と同様に、自己隔離を終了し、通常の生活に戻ることができる。ART検査の結果陽性が続く場合は、ART検査の結果が陰性になるまで、もしくは、ワクチン接種者は10日目まで、ワクチン未接種者または一部接種者は14日目の、いずれかの早い日まで、自己隔離と自己検査を続けることとする。
 
 b. 症状がある場合には、かかりつけ医等からその症状が治まるまでに必要とされる期間として、5日間の診断書(Medical Certificate)を受け取る(臨床的判断により、それ以上でも可)。症状が悪化した場合や、時間が経っても快方に向かわない場合は、再度医師の診察を受けるか、緊急時には995に連絡することが推奨される。
 
 c. Health Risk Warning(HRW)は、TraceTogetherアプリや同一世帯員の申告等によって特定された感染者の濃厚接触者に交付される。HRWを交付された場合は、現行のプロトコル3に従う。


 
 高齢者、妊婦、免疫不全などの高リスク者、または胸痛、息切れ、長引く発熱などの顕著な症状がある場合は、引き続きプロトコル1に基づき、ARTとPCR両方の検査を受ける必要があり、陽性であれば、ワクチン接種の状況に応じて、10日間または14日間の隔離命令(Isolation Order(IO))が出される。体調が良好および/または無症状の低リスクの場合は、ARTで陽性と判定された場合、引き続き既存のプロトコル2に従う。
 
 保健省(MOH)は、今後数週間の状況をモニターしながら、より多くの人が、かかりつけ医等受診後にプロトコル2の下で安全に快復できるようにさらに調整を行い、通常の活動への早期復帰をサポートしていく。
 

ワクチン接種完了状態を維持するために必要なブースター接種

 ワクチン接種、特にブースター接種は、COVID-19による重症化およびオミクロン株に対する相当の防御を維持する。それでも、初期ワクチン接種の予防効果は時間とともに低下し、初期ワクチン接種の最後の接種から6ヵ月後には大幅に低下することが分かっている。また、国際的なデータでは、初期ワクチン接種によるオミクロン株に対する防御力はデルタ株に対する防御力より弱く、ブースター接種することでオミクロン株からの感染や重症化に対する防御力が高まることが示されている。
 
 これらのことから、COVID-19ワクチン接種に関する専門家委員会(EC19V)は、18歳以上の初期ワクチン接種終了者に対し、初期ワクチン接種の最後の接種から270日以内にmRNAワクチン*によるブースター接種を行うよう勧告した。これは、Sinovac-CoronaVacを3回接種、シノファームワクチンを3回接種、および他のWHO EULワクチンの接種など、国家ワクチン接種プログラムの下で提供される認められた非mRNA初期ワクチン接種を受けた人にも適用される。このグループの場合、ほとんどの人は、しばらくの間ブースター接種の期限は来ないという。それまでに、非mRNAワクチンであるNovavaxワクチンを選択肢として利用できるようにすることが検討されている。

 医学的にmRNAワクチンの接種ができない場合は、国家ワクチン接種プログラムで提供される唯一の非mRNAワクチンであるSinovac-CoronaVacワクチンをブースターワクチンとして接種することを検討する必要がある。Sinovac-CoronaVacワクチンは、それ以外のグループのブースターワクチンとして使用してはならない。

 EC19Vの勧告を考慮し、2月14日以降、COVID-19の初期ワクチン接種を終了し、ブースター接種の対象となる18歳以上の人は、初期ワクチン接種の最後の接種日から270日間はワクチン接種済みとみなされる。最適な防御レベルを確保するために、推奨されるブースター接種のタイミングは初期ワクチン接種から5ヶ月後頃であり、初期接種後270日を過ぎてはならない。ブースター接種後は、270日を過ぎても引き続きワクチン接種済みとみなされる。例えば、2021年6月1日に初期ワクチン接種を終了した場合、その5か月後、すなわち2021年11月1日以降にブースター接種の対象となり、引き続き接種済みとみなされるためには、2022年2月26日までにブースター接種を受けなければならない。
 
 COVID-19から快復したワクチン接種者については、現時点では追加のブースター接種は必要ない。ただし、感染前にワクチン未接種または一部の接種であった快復者は、感染後3カ月以上経過してからmRNAワクチンを1回(Sinovac-CoronaVacワクチンを接種した場合は2回*)接種すれば接種済みとみなされる。この接種要件を満たした快復者については、270日の接種期限の適用はされない。
 

※Sinovac-CoronaVacまたはシノファームのワクチンを含む混合ワクチンの接種を受けた快復者は、 https://go.gov.sg/sinovac-mixed-vac-combiで要件の詳細を参照すること。

 

提供:在シンガポール日本国大使館

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