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政治

2021年11月10日

【最新】規制緩和と水際対策まとめ

 11月8日、シンガポール保健省(MOH)は、「安定化フェーズでの調整」として以下のとおり公表した。
 
 関係省庁タスクフォースは10月20日、安定化フェーズを11月21日までの4週間延長することを発表し、中間レビューを行った。過去2週間にわたって、すべての国民の協力と国民の集団免疫の強化により、COVID-19新規感染者の増加は鈍化。感染者の週ごとの比率は減少し、現在は0.8から1.0前後で推移している。病院と集中治療室(ICU)でのCOVID-19感染者の総数は依然として多いものの、その数は安定傾向にある。
 
 ワクチン接種とブースター接種の進捗状況は、COVID-19感染の緩和に大きく貢献した。しかし、完全にワクチン接種を終えていない人々は、重症者およびICU収容者の大部分を不釣り合いに占め続けており、医療制度に負担をかけているという。政府はワクチン接種状況に応じた安全管理措置(Vaccination-Differentiated Safe Management Measures (VDS))が、今後数週間における再開戦略の重要な柱であり続ける認識のもと、いくつかの対策を慎重に緩和することを決めた。
 
 ①包括的なVDSチェックを管理できる飲食店(F&B)において、同一世帯から最大5人のワクチン接種完了者が一緒に食事をすることが許可される。
 
 ②ワクチン接種完了者が、追加要件として迅速抗原検査(Antigen Rapid Test(ART))を利用することにより、より多くの活動が再開できるよう試験的な取り組みがなされる。まずはスポーツおよび選択されたMICE(会議、インセンティブ、会議、展示会)イベントから開始される。成功した場合、この措置を他の場面に拡大できる見込み。
 
 ③来年度の共同カリキュラム学習活動の大規模で安全な再開に向けて、学校での活動再開に向けた取り組みを開始。教育省(MOE)が個別に詳細を発表する予定。
 
 ④Vaccinated Travel Lanes(VTL)でのこれまでの経験は、安全な方法で空の旅を再開できることを示している。政府は渡航措置をさらに簡素化することで、他国と再接続を試みる。
 

COVID-19と医療の状況

 現在、毎日の感染者数は、約3週間安定した状況だ。感染者数は平均して1日3,000人以上を推移しているが、99%近くは引き続き軽症か無症状で、大多数は自宅で十分に回復することが出来ている。過去28日間で、酸素吸入が必要な患者の割合は全感染者数の0.8%で安定しており、ICUでの治療が必要な患者の割合は0.3%だった。 ICUの感染者数は依然として多いが、現在約140人で、ICU病床の占有率は70%で安定している。病院で緊急治療を必要としないCOVID-19感染者を受け入れるために、政府は過去数週間にわたってCOVID-19 Treatment Facilities (CTFs) とCommunity Isolation Facilities (CIFs) を積極的に拡大してきた。

自宅療養プログラムのさらなる拡大

 11月10日から、自宅療養プログラム(HRP)を拡大し、自宅療養の最低年齢が5歳から3歳に引き下げられる。家庭環境が適切であれば、3歳以上のすべての子供は家で過ごし、コミュニティまたは病院の小児科医による遠隔医療評価を受けることができる。乳幼児および生後3か月から3歳未満の子供も、病院で自宅での治療に適していると臨床的に評価された後、自宅で治療することが許可される。COVID-19に感染した生後3か月未満のすべての乳児は、引き続き入院する。

ワクチン接種とブースター接種の順調な進捗

 感染者数が高止まる中、ワクチン接種とブースター接種は、感染や重症化に対する強力な防御を提供し、生命と医療を守る上で極めて重要であることが証明され続けている。現在までに、シンガポール人口の85%がCOVID-19ワクチンの初期接種/2回接種を完了し、18%がブースター接種を完了。 COVID-19に感染した場合、高齢者は最も重症化しやすいため、政府は高齢者にワクチン接種を奨励するためのアウトリーチを優先してきた。現在、60から69歳の高齢者の94%と70歳以上の高齢者の90%がCOVID-19ワクチンの初期接種を完了し、60歳以上の適格な高齢者の82%がブースター接種を受けている。

子どもを守るための予防接種資格の拡大

 COVID-19ワクチン接種に関する専門家委員会(EC19V)は、ファイザーBioNTech / Comirnatyワクチンが5から11歳までへの使用が米国によって承認されていることを承知しており、シンガポールで5から11歳までの子どもへのワクチン接種の拡大について評価中である。これにより、感染や重症化から防御され、2022年に学校の子どもたちへの豊かな教育を再開できるようになる見通し。

医療体制能力の更なる強化

 ワクチン接種とブースター接種の順調な進捗により、国の接種プログラム(NVP)はブースター接種に焦点を当てることにシフトした。ワクチン接種能力は全体として安定していることから、保健省(MOH)は12月1日に4つのワクチン接種センター(VC)を閉鎖。その後、これらのVCで現在働いている医療スタッフを再配置して、COVID-19 Treatment Facility(CTF)などの他の分野での人的資源のニーズを強化する。
 
 これらの4つのVCは、Kebun Baru Community Club(CC)、Potong Pasir CC、Taman Jurong CC、およびGeylang Serai CC。Kebun Baru CCとPotongPasir CCでのウォークインによる1回目接種の最終日は11月6日で、Taman Jurong CCとGeylangSerai CCでのウォークインによる1回目接種の最終日は11月9日。4拠点すべてが、11月30日まで、2回目のワクチン接種とブースター接種の予約を引き続き受け付ける。

ワクチン未接種を選択する患者のCOVID-19医療費の負担責任

 政府は現在、海外渡航から戻った直後に検査で陽性となった人を除いて、すべてのシンガポール人(SC)、永住者(PR)、および長期パス保有者(LTPH)のCOVID-19医療費を全額負担している。これは、COVID-19が新たに発生したなじみのない病気であったときに、金銭的な理由で国民の不安と懸念が増大することを避けるためであった。ワクチン接種を受けている大多数の人にとって、COVID-19医療費に対するこの特別なアプローチは、COVID-19の状況がより安定するまで続く見通し。
 
 現在、ワクチン未接種の人は、集中的な入院治療を必要とする人のかなりの大多数を占めており、医療資源への大きな負担になっている。したがって、12月8日から、ワクチン未接種を選択したCOVID-19患者は医療費を請求される。適用対象は、2021年12月8日以降に病院およびCOVID-19 Treatment Facility(CTF)に入院したワクチン未接種のCOVID-19患者すべて。ワクチン接種の対象とならない人、つまり12歳未満の子供や医学的に接種が不適切な人に対するCOVID-19医療費は、引き続き政府によって全額支払われる。
 
 ワクチン未接種を選択したCOVID-19患者は、通常の医療費清算方法により請求額を支払うことができる。SCおよびPRは、該当する場合、通常の政府補助金およびMediShield Life / Integrated Shield Plan(MSHL / IP)を利用可能。LTPHは、民間保険などの平素の医療費支払い方法により支払うことができる。

 

安全管理措置(Safe Management Measures)の調整

同一世帯での店内飲食制限の緩和

 11月10日から、同一世帯からの最大5人のワクチン接種完了者が飲食店で一緒に食事をすることが許可される。高齢者が世帯に属している場合は、一緒に外食する際も、引き続き注意と抑制を行うことが求められる。VDSの資格はあるが、同じ世帯に属していない人の食事グループの人数は、引き続き2人に制限される。
 
 現在のところ、この緩和は、すべての利用客の包括的なVDSチェックを実行できないホーカーセンターやコーヒーショップには適用されない。ホーカーセンターやコーヒーショップが追加の管理措置を講じた場合は、同じ緩和措置を拡大する予定。国家環境庁(NEA)とシンガポール食品庁(SFA)は、これについてそれぞれホーカー協会とコーヒーショップ運営者に働きかけている。準備ができ次第、さらなる情報が提供される。
 
 同じ世帯を装ってこの規則に違反した者や、必要なチェックを実施していない飲食店に対しては、厳しい処置が行われる。違反した個人には罰金が科せられ、飲食店は直ちに閉鎖される可能性がある。 これらの罰則は、初めての違反者にも適用される。

飲食店における音楽とゾーンサイズ

 11月10日から、既存の安全管理措置(SMMs)にいくつかの調整が加えられ、企業や職場の運用がより容易となる。飲食店は、11月10日から録音された音楽を再生することが許可されるが、ライブ音楽やエンターテイメントは引き続き禁止。その他の措置には、全体的な出席者数を維持しながら、礼拝やライブパフォーマンスなどのさまざまなイベントカテゴリのゾーンサイズを増やすことが含まれる(詳細)。

「VDS + ART」を試行実施

 感染や重症化のリスクが高いワクチン未接種者をより適切に保護するために、ワクチン接種状況に応じた安全管理措置(VDS)をより多くの場面に拡大される。まず、保健省(MOH)は介護施設にVDSを導入。これは、介護施設は、ワクチン未接種の居住者がCOVID-19に感染した場合、ワクチン接種を受けた居住者よりも悪い結果を被る可能性が高く、脆弱な環境であるためだ。訪問や居住者の活動などの場合にも本対策が適用される。後日、保健省(MOH)が詳細を発表する。
 
 政府はさらに、VDSとプレアクティビティ検査(「VDS + ART」)の両方を実施できる場面における安全管理措置(SMMs)のさらなる緩和について検討。この仕組みでは、すべての参加者はワクチン接種を完了している必要があり、活動の前に現地で有効なART陰性結果を出す必要がある。スポーツ分野での試行を開始し、最大10人のワクチン接種完了者(プレーヤー、審判、線審などを含む)のグループが、11月10日から適切なActiveSGスポーツセンターやPAコミュニティクラブで管理および監視された環境で一緒にプレーできるようになる。
 
 また、一部のスポーツイベントや一部のMICEイベントにおいて「VDS + ART」を試験的に利用し、安全管理措置(SMMs)が一定程度緩和される予定。成功した場合は、そのような試行的取組を他の場面にも拡張できるという。

医学的にワクチン接種ができない人へのVDS免除

 医学的にワクチン接種が出来ない人はVDSの対象外となる。この特例措置は12月1日から有効。11月15日以降、対象の方は総合医(GP)のクリニック、公立または私立の医療機関においてAnnex Bに記載されている基準を満たすことを条件に、医学的にワクチン接種が出来ないことを証明してもらうことができる。医療機関から所定の書面が発行され、政府発行の写真付き身分証明書と一緒に提示することで、VDSの適用が免除される。VDS一覧は、Annex Cを参照のこと。
 
 保健省(MOH)はGovTechと協力して、医学的にワクチン接種が出来ない方のステータスを個人のTraceTogetherアプリに反映させ、VDS会場のTraceTogether/Safe Entryチェックインシステムを医療機関から発行された書面の提示なしで通過できるようにしている。MOHは別途医療機関に対してこの認証プロセスに関する情報を提供予定。
 
 政府は医学的にワクチン接種が出来ない対象者に対し、食事や、ショッピングモールの入場、VDSが必要とされる活動に参加することを許可したが、対象者にはこのような活動を最小限にとどめ、この特例措置を賢明に利用することを強く推奨している。
 

水際措置の更新

水際措置の国・地域の見直し

 国・地域におけるCOVID-19の状況の定期的な見直しの一環として、政府はカテゴリー別の国・地域のリストを更新した(詳細)。これらは11月11日23時59分以降の到着から有効となる。

カテゴリー2/3の国に対する水際措置の変更について

 カテゴリー2/3の国・地域からシンガポールに到着、またはシンガポールで乗り継ぎをするすべての渡航者(VTLで到着する渡航者を含む)に対して、有効な出発前検査(PDT)の種類が拡大される。これは、現在シンガポールで実施されている検査方針に沿ったもの。11月11日23時59分より、これらの国・地域からの渡航者については、専門の訓練を受けた医療専門家等によって出発前2日以内に行われたART検査の陰性結果も有効なPDTとして認められる。

ワクチントラベルレーンの拡大

 シンガポールは既にオーストラリア、ブルネイ、カナダ、デンマーク、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、スペイン、スイス、英国、米国との間でVTLを開始しており、11月15日からは大韓民国との間で相互VTLを開始する予定。VTLの対象となる渡航者は、Stay-Home Notice(SHN)を受ける必要はないが、出発前2日以内に受験したPDTの陰性証明書の提出と、到着後にPCR検査を受けることが求められる。
 
 また11月29日より、チャンギ空港とクアラルンプール国際空港(KLIA)間の渡航について、マレーシアと相互VTLが開始される。短期渡航者及び長期パス所持者対象のワクチントラベルパス(VTP)の申請は11月22日に開始。ワクチン接種を完了したシンガポール国民および永住者がシンガポールに帰国する場合はVTPを申請する必要はない。シンガポールとマレーシアは、陸路での移動を対象とした同様のスキームを立ち上げるべく、詳細な検討を行っている。
 
 11月29日からはフィンランドとスウェーデンにもVTLが拡大される。短期渡航者と長期パス保持者のVTP申請は11月22日から開始予定。
 

提供:在シンガポール日本国大使館

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