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政治

2021年11月2日

歳出が2年連続最高、コロナ支援厚く=22年度予算案

 政府は10月29日、2022年度予算案を国会に提出した。歳出は前年比3.6%増の3,321億リンギ(約9兆1,500億円)で、2年連続で過去最高を更新。新型コロナウイルス流行で落ち込んだ経済を立て直すため、雇用創出などに向けた支援を厚くする。
 
 歳出の内訳をみると、公共投資などの開発支出は21.9%増の756億リンギに増やす。新型コロナ絡みの支出には歳出全体の6.9%に当たる230億リンギを充てる。一方、人件費や行政サービス費などを含む基礎的支出は前年比6.3%増の2,335億リンギとする。なお新型コロナ絡みの支出パッケージは22年度で完了する。
 
 歳入は5.9%増の2,340億リンギに設定。国営石油ペトロナスからは250億リンギの特別配当を見込む。財政赤字は国内総生産(GDP)比6.0%で、21年見込みの6.5%から低下させる。22〜24年の財政赤字は平均5.0%を目指す。
 
 予算策定にあたり、22年のGDP成長率は5.5〜6.5%を想定。21年見込みの3.0〜4.0%から加速するとの見方だ。国内消費の伸び率は21年の3.1%から6.6%に加速するとみている。一方で輸出は、21年に17.1%増と大きく回復してベースが上がる見通しから、22年は1.5%増に鈍化するとみている。22年のインフレ率は2.1%を想定。失業率は21年の4.6〜4.8%から22年は4.0%に低下すると見込む。
 
 各種支援策も発表。60万人の雇用創出に向けて国庫から48億リンギを拠出する。新規雇用については30万人を上限に、最初の6カ月間は給与の20%を国庫が負担。雇用しやすい環境を作る。次の6カ月間に月給が1,500リンギを超えたこれら労働者の給与については30%を負担する。また新型コロナで打撃を受けた960万人に総額82億リンギの現金支給も行うほか、物価上昇の打撃を和らげるため総額310億リンギの助成金やインセンティブを打ち出す。中小企業のキャッシュフロー改善に向けて法人税の期限延長も行う。
 
 予算案発表を受けたアナリストや専門家らの反応をメディアが多く報じている。雇用回復に重点を置く内容として評価する声が多く、また体力のない中小企業に即効性のある効果的な支援が多いとの声もある。

 

(提供:亜州ビジネスASEAN

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