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政治

2021年8月24日

「Vaccinate or Regular Test」(VoRT)制度でのワクチン接種差別化措置について

これまでも、レストランや飲食店での食事時や、結婚式や宗教行事、映画上映などの大規模なイベントに参加する際には、ワクチン接種者との差別化を実施してきたが、今回、すべての雇用主に対して、職場でのワクチン接種差別化措置の実施が呼びかけられた。
 
 これは8月23日(月)、シンガポール労働省(MOM)、シンガポール全国労働組合会議(NTUC)、シンガポール全国雇用者連盟(SNEF)からなる三者の声明で発表された。
 

「Vaccinate or Regular Test」(VoRT)制度


 保健省は、2021年10月1日から特定の業種の従業員を対象に「ワクチン接種または定期検査」(VoRT)制度を導入することを発表した。この制度は、医療、高齢者介護、12歳以下の子供がいる環境で働く人や、食事、運動、個人的なケアなどのために顧客がマスクを外す環境で働く人に適用される。三者の声明によると、このVoRT制度は公共サービスの場でも採用される予定。
 
 すべての雇用主は、「公共サービスで採用された例にならい、VoRT制度を会社の方針として採用することを検討する。」ように求められている。これは、新入社員だけでなく、既存の従業員にも適用される。
 
 今回の声明で言われているVoRT制度でのワクチン接種差別化措置は以下の通りである。
 
 1.ワクチンを接種していない従業員は、保健省のガイドラインを参考に、週2回の検査を受けることが求められる。
 
 2.雇用主は、ワクチン接種を受けていない従業員が職場のイベントに参加する前にイベント前検査(PET)を受けることを義務付けるか、予防接種を受けていない従業員が参加するイベントでは全体人数を減らす。
 
 3.雇用者は、定期的な検査を行った上で、ワクチンを接種していない従業員をリスクの高い業務に継続して配置することもできるし、リスクの低い別の業務に再配置するかどうかを決定することもできる。再配置については、既存の再配置方針がない場合、雇用者と従業員の間で相互に合意する必要がある。
 
 また、雇用主は、職場でのその他の措置を自主的に実施することができるが、雇用主は紛争が起きた際に、その措置が「事業運営のために合理的かつ必要であり、すべての従業員の健康と安全をよりよく守るため」であることを、従業員および政府に正当化する準備をしておかなければならない。従業員が組合に所属している場合、組合と雇用主は「ワクチン接種を区別した他の職場対策について相互に合意することができる」としている。
 
 今回の声明によると、雇用主は、ワクチン接種を受けた従業員と受けていない従業員の両方に共通するVoRT制度に必要な費用を負担すべきであるとしている。しかし、医学的に適格でありながらワクチン接種していない従業員に対して、ワクチン接種した従業員の費用を超えて発生した費用を負担することを要求することができるという。
 
詳細は以下の通りである。
 
 1.Covid-19検査キットやstay-home notice (SHN)の宿泊費は、従業員の給与を差し引くか、従業員がサービス提供者に直接支払うことで賄うことができる。
 
 2.ワクチンを接種していない従業員が、ワクチンを接種した従業員よりも長く職場を離れている場合、休暇を取得するか、無給の休暇を取ることが求められる。これは、治療後に退院した場合や、stay-home notice (SHN)などの移動制限の期間が長くなった場合などに起こり得る。
 
 3.雇用主は、法律で定められている医療給付以外でCovid-19に関連する医療給付(保険料など)から、ワクチンを接種していない従業員(mRNAワクチンの接種が医学的に不適格である従業員は除く)を除外することができる。
 
 雇用主はいかなる状況においても、予防接種の有無のみを理由に従業員のサービスを終了させたり、終了させると脅したりしてはならない。また、従業員との書面による合意なしに、従業員を長期間にわたって無給の休暇にしてはならない。ただし、ワクチン接種していない従業員が「ワクチン接種を区別した合理的な職場対策」に従わない場合、雇用主は契約上の解雇権を行使することができるとしている。さらに、VoRT制度を採用する雇用主には、影響を受ける従業員や求職者に、ワクチン接種を差別化した職場対策と、医学的に適格でありながらワクチン接種を拒否する従業員に対する関連費用について、明確に事前に伝えることも求められている。
 
 今回、発表された職場でのワクチン接種差別化措置は更新されたものとなるが、以下のポイントは前回から引き続き、実施される。
 
 1.雇用主は、事業継続計画などの業務上の目的で、従業員に予防接種の状況を尋ねることができる。
 
 2.雇用主は、Covid-19の予防接種を受けるための有給休暇を与えることが推奨される。
 
 3.雇用主は、ワクチンの安全性と有効性について従業員を教育すべきである。
 
 最後に、ワクチン接種によって「Covid-19に対する防御力が大幅に強化される」一方で、雇用者と従業員は、職場でのマスク着用や必要に応じて保護具を着用するなど、安全管理措置を継続して行うことが重要であるとしている。

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