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政治

2021年5月6日

シンガポールにおける感染防止措置の強化まとめ(2021年5月上旬)

 5月4日、シンガポール保健省(MOH)は、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために水際対策およびコミュニティでの感染防止措置を強化することを公表した。

 
 関係省庁タスクフォース(MTF)は、シンガポール国内外の新型コロナウイルスの状況を注視している。シンガポールでは新しい変異ウイルスをはじめ、市中感染の症例や、感染経路不明の市中感染例も増加し続けており、適時適切な対策を講じなければ、新たな大流行に発展する可能性がある。シンガポールにおける新型コロナウイルスの感染を抑制するために、MTFは断固とした行動を取ると発表した。
 

シンガポールで確認されたウイルス変異体の報告

 この1週間にコミュニティ内で、新たに60人の感染者が確認された。5月3日の時点で、B.1.351(南アフリカ)変異株の感染者8名、B.1.1.7(英国)変異株の感染者7名、B.1.617.2(インド)変異株の感染者7名、P1(ブラジル)変異株の感染者3名、B.1.617.1(インド)変異株の感染者3名、B.1.525(英国2)変異株の感染者1名が検出されている。また、B.1.351(南アフリカ)変異株による再感染例が4例あった。
 
 注目すべきは、3つのクラスターに属する7例がB.1.617.2(インド)変異株に感染していることだ。ただし、各クラスターのウイルスは系統的に異なっており、クラスター同士のつながりはないと考えられる。Tock Seng Hospitalクラスターではケース62541,62557,62561,62567,62568の5例がインド変異株の感染者だった。またケース62517を発端とするクラスターのうち、ケース62517がインド変異株の感染者であり、チャンギ空港勤務のICA職員だった。さらにケース62553を発端とするクラスターのうち、ケース62553がインド変異株感染者で、Tuas Southのコミュニティケア施設に配置されている清掃員。公衆衛生上必要な措置が速やかに講じられ、すべての症例が隔離されている。新型ウイルスはより強い感染力をもっている可能性があるため、シンガポールでのさらなる感染のリスクを軽減するために、警戒態勢を強化しより厳格な措置を取る必要がある。
 

水際措置の強化

 渡航者からの輸入症例やそれに起因する市中感染のリスクを管理するために、シンガポールは水際措置をさらに強化する。5月7日23:59より、高リスク国・地域(日本を含む)から新たに到着したすべての旅行者に対して、SHN専用施設で21日間のSHNが実施される。
 
 また5月1日23:59以降、コミュニティでの感染拡大のリスクを管理するため、シンガポールへの出発前14日以内にバングラデシュ、ネパール、パキスタン、スリランカへの渡航歴(トランジットを含む)があるすべての長期滞在パス保持者および短期滞在者は、シンガポールへの入国およびシンガポールでのトランジットが認められない。これは、シンガポールへの入国を事前に承認したすべての人にも適用される。
 
 世界的に感染状況が悪化していることから、ハイリスク国・地域への渡航歴を持つ旅行者に対する水際措置をさらに強化し、シンガポール市民・永住権保持者以外への入国承認を直ちに縮減する方針。
 

過去の渡航歴を直近14日間から21日間に変更

 5月7日23:59以降、シンガポールに入国する渡航者に適用される一般的な水際措置は、従来の過去14日間に代えて過去21日間の渡航歴に基づいて決定される。2国間で合意されたトラベルレーン(Air Travel Bubble,Reciprocal Green Laneなど)はこの対象にならない。
 

SHN期間の14日間から21日間への見直し

 日本を含む高リスク国・地域(5月4日現在、オーストラリア、ブルネイ・ダルサラーム国、中国本土、ニュージーランド、台湾、香港特別行政区、マカオ特別行政区を除くすべての国・地域を指す)への渡航歴があり、5月7日23:59以降に到着するすべての渡航者は、政府指定のSHN専用施設で21日間のSHNを受けることが義務付けられる。現在14日間のSHN中の渡航者で5月7日23:59までにSHNを完了しない場合は、移動と感染のリスクを最小限に抑えるため、現在滞在しているSHN施設でさらに7日間のSHNを行う必要がある。
 
 シンガポール到着前14日間フィジーとベトナムに滞在していた渡航者は、これまで条件を満たす場合、14日間のSHNを住居(自宅)で実施することを選択することができたが、5月7日23:59以降、シンガポール到着前の21日間にこれらの国への滞在歴のある渡航者は、SHN専用施設で21日間のSHNを受けることになる。ただし、後半の7日間は住居(自宅)等での隔離も可能。5月7日23:59までに14日間のSHNを完了しない場合は、残りのSHN期間を現在のSHN専用施設で完了させ、追加の7日間をSHN専用施設ではなく住居(自宅)等で行うことができる。
 
 21日間のSHNを行う渡航者は、到着時およびSHNの14日目と21日間のSHN期間が終了する前にPCR検査を受ける。空港でのPCR検査を迅速に行うために、シンガポールへの出発前にPCR検査登録と事前の支払いを行うことを強く推奨する。
 

コミュニティにおける警戒態勢の強化

 4月30日、MTFは5月1日から5月14日までに実施される追加のコミュニティ対策を発表した。日々変わっていく状況を管理するために、地域や職場での交流を減らして感染の連鎖を断ち切り、コミュニティの安全を守るための努力を強化する。また、大規模な集まりを伴う活動は、感染のリスクを確実に軽減するように制限が導入される。
 
 以下の追加措置は、5月8日から5月30日まで実施される。対策が実施されるまでの数日間も、コミュニティの安全を守るために、以下の安全管理措置を実践することが求められる。
 

社交的集まりの縮小

 現在8人まで許容されている社交的な集まりは、5人までに縮小される。他の家庭を訪問したり、公共の場で友人や家族と会ったりする場合でも1日の交流回数は2回以下にすることが要請される。また、1世帯あたり1日8人の訪問者の上限は、1世帯あたり1日5人に引き下げられる。
 

職場での対策

 現在、在宅勤務が可能な従業員のうち最大75%が職場に戻ることができるようになっているが、この措置については5月8日から5月30日までの間制限が強化される。事業者は在宅勤務が可能な従業員の50%以上を確実に在宅勤務とし、職場への出勤を抑制しなければならない。また職場への出勤が必要な従業員の始業時間の調整など、柔軟な労働時間の確保を実施する必要がある。職場での集まりは避け、どうしても避けられない場合(食事休憩など)は、5人というグループサイズを守ることが求められる。
 

イベントや活動の規模縮小とイベント前の検査要件

 大規模なクラスター形成の可能性を最小化するために、イベントの規模の縮小や、イベント前検査が必要なイベント規模の上限が引き下げられる。※ワクチン接種者は、イベント前の検査を実施しているイベントに関連書類を提示することで、イベント前の検査を受けることなく入場することができる。最大の参加者数には,これらのワクチン接種者も含まれる。
 
①礼拝などの集まり
 新たな要件として、1度に100人以上の参加者がいる場合には、イベント前の検査が必要となり、出席者の上限は250人となる。感染のリスクをさらに低減するために、礼拝所での合唱は中止される。
 
②結婚式
 イベント全体で最大250名の出席者(結婚式のカップルを含む、ただし業者は除く)で、最大50名の出席者ごとの区画に分けて行うことができる。参列者が50名を超える場合、結婚式のカップルはイベント前検査が必要となる。同様に、結婚披露宴では、出席者数50人までの区画、または時間制において、イベント全体で250人までの出席者で進行することができる。披露宴では、食事の間にマスクをしていなかったり、互いに接近して長時間接触したりするリスクが高いため、50人以上の出席者を伴う披露宴では、すべての出席者(結婚式のカップルを含む)に対してイベント前の検査が必要となる。
 
③葬儀
 埋葬/火葬出席者は、現在の50人以下から30人以下に制限される。その他の通夜の参列者の上限は引き続き30人。イベント前の検査は必要なく、参列者は安全な距離を保ち、拡散のリスクを減らすために常にマスクを着用することが求められる。
 
④観戦・参加型のスポーツイベント(着席)
 新たな要件として、すべての大規模参加型スポーツイベントは中止となり、観客の入場は認められない。
 
⑤指定された会場でのライブパフォーマンス、ビジネスイベント、映画館
 最大参加者数は750人から250人に削減される。これらのイベントの参加者が100人を超える場合は、すべての参加者に対してイベント前検査が必要となる。同様に、映画館の入場者数は100人に削減されるが、イベント前検査の追加により250人までの収容を可とする可能性もある。
 
⑥美術館・博物館,公共の図書館
 収用上限を65%から50%に引き下げ。
 
⑦アトラクション施設およびショー
 MTIの事前承認を受けたすべてのアトラクション施設は、稼働率が65%から50%に引き下げられる。また、これらの施設で行われる屋内および屋外のショーの最大入場者数は、100名に引き下げられる。イベント前検査は必要なし。
 
⑧ツアー
 旅行社や観光ガイドが提供するツアーの最大規模は、従来の50名までから20名までに引き下げられる。
 

高リスク施設の閉鎖

 海外やシンガポール国内でのこれまでの経験から、屋内ジムやフィットネススタジオなどは、新型コロナウイルス感染のホットスポットとなる傾向がある。これらの施設での活動はマスクをつけず、人同士の密度が高く、多くの場合長時間にわたって行われるためだ。
 
 今後数週間の厳戒態勢の間、コミュニティでの感染のリスクを減らすため、屋内のジムや屋内のフィットネス/ヘルススタジオは閉鎖される。こ屋外でのエクササイズプログラムやクラスは、安全な距離を保ちつつ、クラスの参加者が合計30名以内であることを条件に継続できるが、最大5人までのグループサイズと、各グループ間の3メートルの距離について厳守する必要がある。
 

TraceTogether-only Safe Entry (TT-only SE)の前倒し

 以前、6月1日より、来場者数が多く長時間人が接近する可能性がある施設では、TT-only SEを導入することが発表されていたが、TT-only SEの導入が5月17日に前倒しされることとなった。5月17日以降、携帯電話のカメラやSingpass AppでのSE-QRコードの読み取りは廃止される。経過措置として、IDチェックインは年5月31日まで継続される。
 
 今後はホテル、飲食店、スポーツ・フィットネスセンターなど、人が長時間接触する可能性が高い公共の場にも、SafeEntry Gateway機器の導入が求められる予定。これにより、よりシームレスなチェックインが可能になり、TTトークンの稼働を確保することができる。これらの施設は、6月15日までにSafeEntry Gatewayを導入する必要がある。(SafeEntry Gatewayの導入が必要な施設の一覧はこちら
 

航空会社各社の路線状況

 航空会社各社は、新型コロナウイルスの発生により、路線の減便等の措置を実施している。詳細は各社HPを参照のこと。
 
 ・日本航空HP
 ・全日空HP
 ・シンガポール航空・シルクエアーHP
 

提供:在シンガポール日本大使館

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