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社会

2021年3月15日

昨年の出生数は10年来の最少、死亡者数は増加

 シンガポール人口動態速報によると、20年の出生者数は前年比1.5%減の3万8,705人で、10年来の最少だった。一方、死亡者数は同2.6%増の2万2,000人で1931年以来の最多だった。
 
 19年は結婚が前年より9%少なく、これが出生数に影響した。パンデミック以前の妊娠が大多数のためパンデミックの影響は少なかったと考えられるが、シンガポール国立大学(NUS)のジーン・ヨン教授によると、雇用の先行きが不安の場合、人は結婚や子どもを持つことを先延ばしにする、あるいは取り止めるため、来年はパンデミックの影響が出生数に顕著に表れる見通しだという。
 
 リー・クアンユー公共政策学院のタン・アーサー氏によれば、親としての責任を果たす能力がパンデミックで損なわれたため、子どもを持たないことを選択する夫婦が増える可能性がある。
 
 20年の合計特殊出生率(一人の女性が生涯に産む子どもの数の平均)は1.1人で、過去最少。
 
 高齢化も進んだ。年齢65歳かそれ以上の居住者(国民と永住者)の居住人口比は2000年が7.2%、10年が9%、20年が15.2%。
 
 出生率引き上げを目指し政府は、出産に対する一時金給付、託児所の増設など出産奨励措置を講じてきた。タン・アーサー氏によれば、こうした措置はないよりはまし程度の効果、というのが世界の共通認識だという。

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