2021年1月18日
HDBフラット建設のための森林伐採、自然保護団体が反対
【シンガポール】住宅開発庁(HDB)はドーバー森林地区(別名ウル・パンダン・エステート、33ヘクタール)を住宅地に指定した。HDB住宅団地を建設するためで、森は伐採される。
同地には絶滅危惧種を含め158種の動物と120種の植物が生息しており、自然保護団体のシンガポール自然協会(NSS)は懸念を表明。HDBへの意見書で、敷地の一部を地域社会の住民らが憩える公園、庭園とし、野生生物が豊かな地域はそのまま残すことを提案した。
ドーバー森林はウル・パンダン水路、ギム・モー・リンク、コモンウエルス・アベニュー・ウエスト、クレメンティ・ロードに囲まれた場所にあり、40年間、手付かずの状態にある。
NSSは生物多様性が失われ、また近隣の緑地との野生生物の連絡路が失われるとの懸念を表明した。ほかの自然愛好団体も住宅開発に反対で、「多様性のための青年の声」は、ドーバー森林にはヒートアイランド現象を緩和する効果が期待できるとした。ドーバー居住者のシドニー・チョン氏は宅地化反対キャンペーンをオンライン上で開始。「シンガポールにある自然の最後の砦の一つ」と訴えている。
19年の国会でデスモンド・リー第2国家開発相(当時)は、自然は気候変動の重要な緩衝材だが、狭い国土面積の中で将来の世代のための住宅も建設しなければならないと説明していた。