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社会

2021年1月11日

感染者接触追跡アプリで得た情報の捜査利用、立法措置で範囲を限定へ

 政府は、新型コロナウイルス感染者接触追跡アプリ「トレーストゥギャザー」で得られた個人情報を警察が捜査に利用する際、対象とする犯罪を限定する立法措置を講じる。スマート国家・デジタル政府室(SNDGO)が1月8日発表した。
 
 政府はアプリ導入に際し、アプリ・同端末から得た個人情報は接触追跡にのみ用いると明言したが、デスモンド・タン閣外相が4日、刑事訴訟法に基づき警察は情報を犯罪捜査に利用できると明らかにしたことから、態度の180度転換などの批判が巻き起こった。
 
 SNDGOは、公共の安全が脅かされる時、アプリで得られた情報の警察による利用を否定したら公共の利益にならないと主張した。
 
 また、トレーストゥギャザーで得た情報は刑事訴訟法の適用対象と当初表明しなかったのは思い違い、と誤りを認めた。
 
 ソーシャルネットでは、政府は主張を翻したとして、アプリの使用停止や端末の返還を呼び掛ける投稿があった。
 
 シンガポール経営大学のユージン・タン准教授は「アプリで得た情報が犯罪対策に利用できるということは、ほかのことにも利用できることを意味する以上、接触追跡にのみ用途を限定すべきと考える人もいる」と指摘した。
 
 立法措置では、武器を用いた強盗、テロ関連、殺人、誘拐、レイプなど重大犯罪に情報利用を限定する計画だ。

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