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政治

2021年1月6日

感染者接触アプリの情報を警察が利用、警察に使用権限と政府

 【シンガポール】デスモンド・タン閣外相(内務担当)が4日の国会で与党議員の質問に対し、刑事訴訟法の下では感染者接触アプリ「トレーストゥギャザー」で得られた情報を警察は捜査に利用する権限があると明らかにし、波紋が広がっている。
 
 殺人捜査で一度、アプリで得られた情報が使用されたことがあるという。5日の国会でシャンムガム法相兼内相は、殺人、テロなど極めて重大な犯罪にのみ利用すると説明した。
 
 トレーストゥギャザーをめぐっては、ビビアン・バラクリシュナン外相(スマート国家イニシアチブ担当)が昨年6月の記者会見で、得た情報は接触者追跡にのみ利用すると言明していた。
 
 5日の国会審議でバラクリシュナン氏は「発言当時、刑事訴訟法は頭になかった」と弁明。情報が使われた殺人事件について、捜査について発言する立場にないと述べた。
 
 シンガポール経営大学のユージン・タン准教授は「前言撤回であり、政府の信用にかかわる」と指摘した。タン氏は元指名議員。
 
 バラクリシュナン氏は「トレーストゥギャザーはおそらく、世界で最も成功した接触者追跡プログラムで、住民がそれに協力したおかげだ」と述べ、住民の信頼、理解に改めて謝意を表明した。
 
 トレーストゥギャザー計画はパンデミックの終息に伴いお役御免になり、得られたデータはほとんど削除されるが、バラクリシュナン氏によれば、疫学調査の観点から保健省が一部を保管・利用するという。

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