経済は安定しつつある、首相新年メッセージ

　【シンガポール】リー・シェンロン首相は12月31日、国民に向けたメッセージを発表。シンガポールは55年前の独立以来、最も深刻な景気下降を経験し、まだ苦境を脱していないが、回復の兆候が見えているとの認識を示した。しかし回復はまだら模様で、パンデミック以前の水準には当分戻らない見通しだという。
 
　リー氏はウイルス禍対策として昨年度は5回、予算を編成し、過去の政権が蓄積した剰余金を引き出すなど総額1,000億Sドル（約7兆8,200億円）近くの予算を組んだことを取り上げ、労働者の失職、企業の破たんを防ぐため全力を挙げたと強調した。
 
　ウイルス禍についてリー氏は「大変な努力、犠牲が払われた結果、ほかの国と異なりシンガポールにおいてパンデミックは落ち着いた。人の命と安全を守るとの目標は達成した。死亡者も29人と致死率は極めて低い」と語った。
 
　ワクチン接種も開始されたが、十分な数の人が接種を受け感染の再発を免れる段階に至るにはある程度の時間が必要と指摘。引き続き規律を守り、他人との距離を確保しなければならないと警戒を国民に訴えた。
 
　ウイルス禍への対応でシンガポールが傑出していたのは、国の制度に対する国民の信頼の強さで、このためシンガポールは分断を回避できたという。