シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXニュースTOP金融庁は千ドル紙幣の発行を停止、法執行報告を公表

政治

2020年11月5日

金融庁は千ドル紙幣の発行を停止、法執行報告を公表

 シンガポール金融管理庁(MAS=中央銀行)は3日、最高額紙幣である1,000Sドル札の発行を来年1月に停止すると発表した。高額紙幣はテロ資金や資金洗浄に利用されやすいからだという。
 
 年内、MASは1,000ドル札の発行数を減らす。しかし法貨としては存続させるため、銀行は引き続き1,000ドル紙幣を流通させることができる。
 
 MASは、一般市民は支払いには高額紙幣ではなく、電子的決済を利用するのが望ましいとした。MASは2014年に1万ドル紙幣の発行を停止している。
 
 国際通貨基金(IMF)のエコノミストらも、脱税、汚職などの防止のため、高額紙幣の段階的廃止を提唱している。コイン商のローレンス・ラオ氏は、供給が限られるため1,000ドル紙幣の価値は上がると述べた。
 
 MASは4日には法執行に関する報告書(対象期間19年1月~20年6月)を公表した。刑事訴追に要した期間は24カ月(前回報告書では33カ月)、民事訴訟に要した期間は26カ月(同30カ月)に短縮した。監督機関としての処置に要した期間は8カ月(同6カ月)だった。
 
 取引上の不正行為、株式保有非開示などに対する民事制裁金は計1,170万Sドル(約9億円)で、うち1,120万Sドル(約8億6,000万円)は行員が顧客をだます行為を行ったスイス系UBSへの制裁金だった。金融機関18社に科した罰金、和解金の合計は340万Sドル(約2億6,000万円)だった。

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