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日系企業・社会

2020年10月28日

持続可能な航空燃料、全日空がネステのシンガポール工場から調達

 全日本空輸(ANA)はフィンランド系ネステのシンガポール工場で生産される「持続可能な航空燃料(SAF)」を調達する契約を交わした。ANAは先に1回だけの取引としてネステから700万リットルのSAFを購入しており、貨物は24日、羽田空港に到着した。
 
 環境活動家グレタ・トゥンベリさんの発言をきっかけに、二酸化炭素を大量に排出する空の旅が「飛び恥」とされるといった状況が背景にある。
 
 ネステはシンガポール工場を拡大し、年間150万トンのSAFを生産できるようになる23年からANAへの供給を開始する。ネステは廃食油や動物性、植物性の油脂を使って燃料を生産している。
 
 ANAのサステナビリティ推進部マネジャーの杉森弘明氏は「企業の評判に対するリスクを考えれば、飛び恥に対する関心が高まったことを無視できない」と語った。ただ調達部エネルギーチームの吉川浩平マネジャーによると、SAFは需要に比べ生産者が少なという問題があり、調達は容易ではないという。
 
 国際航空運送協会(IATA)によると、今年のSAFの 生産量見通しは4,000万リットルで、世界のジェット燃料需要の0.015%。価格は従来のジェット燃料の3倍以上と極めて高く、航空需要の急減で経営が厳しいなか、SAFへの移行はタイミングとして最悪と考えられる。 ANAは、政府からの援助、奨励措置がなければSAFは普及しないとみている。

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