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社会

2019年12月4日

患者への情報提供で医師に指針

 
医師からの十分な情報に基づき患者が正しい判断ができるよう、医師は患者に何を伝えるべきかの指針が策定される。説明不足を理由に医師が罰を受ける事態の回避にも役立てる。
 
勧告を行ったのは政府の委託を受けた作業グループで、医療の専門機関と公衆衛生機関が指針をまとめるのが望ましいとの意見を提出し、保健省も受け入れを決めた。特に、注射、投薬の際、よく見られる副作用、および頻繁ではないが重大な副作用の可能性について医師は説明を求められることになる。
 
2件の際立った出来事が作業グループ設置のきっかけとなった。医師が患者への説明に関し患者から苦情を申し立てられ、医師は罰を命じられたが、医師からの不服申し立てを審査した結果、医師に責任はないとの判断が示された事件だ。
 
作業グループは医師1,000人余り、および患者支援グループの関係者から話を聞き、提案をまとめた。最も多かったのは、医師は患者に情報を過剰に知らせるなど、自己防衛過剰の姿勢が見える、との意見だった。
 
一般的な注射に関し医師が患者に十分、副作用の情報を知らせなかったとして10万Sドル(約800万円)の罰金を命じられる事件があり、この後、「患者にステロイド注射を打つのをやめた」や、「あらゆる治療について副作用を網羅したリストを患者に提供した」といった行動に出る医師が増加した。
 
作業グループのクア・ブーンテン議長は「十分な情報提供を受けたというより、患者の懸念が増しかねない」と述べた。
 
医師に対する苦情の処理が遅れているのも問題だ。現在、苦情申し立てから取り扱われるまで最長6年かかっている。 

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