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経済

2019年11月18日

非正規労働者が4万人に、将来に不安

 
 食事デリバリーや配車サービスに携わる労働者の半数は所得が月1,500Sドル(約12万円)以下と、所得別で下位3分の1の層に属することが、ストレーツ・タイムズ(ST)日曜版の調査で分かった。こうした、単発の仕事を受注する労働者の4分の3は年齢が35歳以下と若年層が多い。
 
 こうしたギグエコノミー(インターネットを通じて単発の仕事を受注する働き方、非正規労働によって成り立つ経済形態)に従事する労働者は今や4万人を数える。非営利組織AMPシンガポールのモハマド・アヌアル専務理事は「職業生活の初期段階で配車サービスの運転手やデリバリーの仕事に携わることで、職歴を積んでいく機会を失ってしまう」と懸念を表明した。
 
 この種の仕事は将来性がなく、しかも不安定、というのが一般的受け止め方だ。STは消費者調査のミリュー・インサイトに調査を委託し、食事デリバリーパートナー200人と配車サービスの運転手200人に質問した。STは別個に50人を面談調査した。人材開発省はこの種の労働者に関する統計をとっていない。
 
 貧困線は月間世帯所得の中央値の半額(シンガポールの場合は4,646Sドル=約37万円)以下とされる。シンガポール国立大学(NUS)社会学者のタン・アーンサー氏は「彼らが単発受注の仕事を永続的職業にした場合、技能を磨き高賃金の職に就く機会を失う」と語った。
 
 調査にはデリバリー、配車サービスに携わる者からそれぞれ115人が回答した。回答者の4人に1人はフルタイムでその職に就いていた。

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