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経済

2019年10月22日

国営投資会社テマセク、ケッペル過半株を取得へ

 
 国営投資会社のテマセク・ホールディングスは10月21日、コングロマリットのケッペル・コーポレーションの過半株を取得すると発表した。現在、ケッペル発行済み株式の20.5%を保有しており、30.55%の株式を1株7.35Sドル(約583円)で追加取得し、持ち株比率を51.05%にする。買い付け申し出価格は取引停止前の株価に26%、過去3カ月間の加重平均株価に21%のプレミアムを乗せた。
 
 テマセクはケッペルの上場は維持する。テマセクは「株主価値の持続を図るため、取締役会とともに包括的な戦略の見直しを行う」と株式買い付けの意図を説明した。このため複数の新取締役の登用をケッペルに提案するという。テマセクは出資する企業に対し、業務には口を出さず意思決定には加わらないとの方針を堅持してきた。
 
 ケッペルはリグ(油井掘削装置)建造などに携わるオフショア・海洋部門を持っている。テマセクが支配株主であるセムコープ・マリンもオフショア・海洋業者で、KGI証券のジョエル・ン氏は、オフショア・海洋部門の統合が狙いの株取得との見方を示した。
 
 ケッペル、セムコープともリグ受注に沸いた時代を経験したが、原油価格の急落で受注が急減しており、ほかのアナリストもケッペルのオフショア・海洋部門とセムコープの統合を予想していた。CLSAによると、テマセクは昨年以降、投資のペースを落とし、出資している企業の株価が上がるような資産最適化に力を入れている。

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