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経済

2019年6月28日

たばこ市場、流通する6割が違法品

 
 マレーシアで流通するたばこのうち、2018年は約60%が違法たばこだったことがブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)とオックスフォード・エコノミクスの調査で分かった。15年の37%、17年の56%から事態は悪化。調査対象となった100ヵ国で最悪だった。シンガポールのビジネス・インサイダーが伝えた。
 
 2015年4月に導入された物品・サービス税(GST、18年6月に廃止)をきっかけに、BATマレーシアはたばこ価格を約40%引き上げた。この値上げを受けて、税関局の承認印がない違法たばこの流通がさらに増加、マレーシアは18年、違法たばこにより15億リンギ(約390億円)の税収を喪失した。15年以降の税収喪失額は累計135億リンギとなり、マレーシア政府系ファンド「1MDB」の巨額汚職事件で発生した損失よりも額が大きいという。
 
 違法たばこの価格は1箱(20本)当たり4.5リンギ(約118円)ほど。正規品は平均15.9リンギ(約415円)で、違法品は政府が定める最低価格の半分にも満たない。消費量は正規品と違法品を合わせて15年以降に約7%増えたが、正規品の販売は3分の1近く減った。こうした中でBATとJTインターナショナルは2工場を16年に閉鎖。約5750人が職を失った。
 
 オックスフォード・エコノミクスによれば、違法たばこの密輸団は、不正で得た利益でさらに密輸を行い、この資金で他の犯罪活動にも手を染めている。腐敗防止を目的とした非営利団体、トランスペアレンシー・インターナショナル・マレーシアのアクバー・サッター元会長は、取り締まりを行う公務員が腐敗しており、まずはこれを取り締まる必要があると述べている。
 
(提供:亜州ビジネスASEAN

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