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経済
金融

2019年5月30日

シンガポールの通貨政策、米財務省の監視対象に

 
 米国の財務省は5月29日、主要な貿易相手国の通貨政策を分析した半年ごとの為替報告書を発表し、同国との貿易で黒字が大きい日本、シンガポールなど9カ国を「監視対象」に指定した。
 
 米財務省は対米黒字の大きさや為替市場介入に関する評価基準を厳格化し、調査網を広げた。日本、中国、ドイツ、韓国は継続監視対象で、シンガポール、マレーシア、ベトナム、アイルランド、イタリアの5カ国を新たに監視対象に加えた。
 
 シンガポールの経常黒字は対GDP(国内総生産)比17.9%(2018年実績)で、米財務省の新たな評価基準の2%を超えた。しかし米国との貿易は常に赤字だ。
 
 財務省報告はまた、シンガポールは過去6カ月間、継続的に一方に偏った為替市場介入を行ったと指摘した。財務省はシンガポールによる外貨買いを170億米ドル(1兆8,593億円、売却分を引いた正味)と推測している。GDP比4.6%で評価基準の2%を超えた。
 
 報告書に対しシンガポール金融管理庁(MAS=中央銀行)は29日「輸出で有利になるために為替操作を行うことはないし、不可能だ。Sドルを弱めることはインフレをもたらし、MASの物価安定政策を損なうからだ」との反論声明を出した。
 
 OCBC銀行のエコノミスト、セレナ・リン氏は、監視対象になったことでMASの金融政策の枠組みが変わることはないとの認識を示した。

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