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経済
金融

2019年5月9日

外貨準備高の一部、中央銀行が政府投資公社に移転

 
 中央銀行に相当するシンガポール金融管理庁(MAS)は5月8日、外貨準備高のうち余剰分とみなされる450億Sドル(約3兆6,369億円)を、シンガポール政府投資公社(GIC)に移転すると発表した。GICはこれを投資収入を上げるために運用する。MASがこうした資金移転を明らかにしたのは初めて。また来年7月から、外為市場介入に関する情報を公開する方針だ。
 
 4月末時点の外貨準備高は4,040億Sドル(約32兆6,512億円)で、金融危機や世界的な経済の低迷、Sドル防衛のため管理している。外貨準備高は国内総生産(GDP)の82%に相当するが、シンガポールの金融政策に対する信頼の維持では65%で十分とMASは判断した。
 
 GICは移転を受けた資金を有価証券などで運用しており、投資利益の一部を純投資リターン(NIRC)として国庫に納めている。昨年度のNIRCは164億Sドル(約1兆3,254億円)。最大の歳入源だ。GIC以外では国営投資会社のテマセク・ホールディングスが準備金を運用している。準備金総額は戦略的理由から未公開だが、1兆Sドル超(約80兆8,200億円)と推測されている。
 
 CIMBプライベートバンクのソン・センウン氏は、今回の移転は低インフレ、低金利環境がこの先も続くとMASが判断したことを示唆するもの、との見解を示した。また公開市場操作の情報を公表するとの方針について「誰もMASの向こうを張ろうとは思わない」と評価した。

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