2018年5月23日
シンガポール取引所とインド証券取引所の摩擦が深刻に
シンガポール取引所(SGX)とインド最大の金融市場であるインド・ナショナル証券取引所(NSE)との摩擦が深刻化している。
NSEは2月、代表的株価指数のNifty 50を原資産とするNifty50先物の海外市場での取引を、8月をもって中止すると発表。SGXとのライセンス契約を打ち切った。これを受けSGXは後継商品となる3つのデリバティブ(金融派生商品)を導入する計画を明らかにした。これに対しNSEは上場を阻止するための訴訟をボンベイ高等裁判所に起こした。
SGXはインド先物、オプション、インド銀行先物を6月4日、上場する計画で、デリバティブ部門責任者のシン氏は「顧客にリスク管理ツールを提供する責務がSGXにはある」と語った。
NSEがSGXとの契約を打ち切ったのは取引の海外流出を防ぎ、NSEでの取引を増やすのが狙い。
オブザーバーによれば、ボンベイ裁判所でどのような判決が出ても管轄権がシンガポールには及ばないため執行されるかは疑問だ。この点はSGXも理解しており、上場の方針を変えていない。
SGXは米国商品先物取引委員会の承認も取り付けており、米国の投資家に新商品を売ることができる。
SGXの前身の1つであるシンガポール国際金融取引所SIMEX(サイメックス)でも、上場された日経225平均先物取引が日本市場のかく乱要因になっているとして、日本側と摩擦が生じたことがある。