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社会

2018年2月8日

シンガポール、改定刑法案を承認、内相の権限強化に野党が反発

国会は2月6日、刑法改定案を承認した。これで刑法は来年10月21日から5年間延長される。裁判なしでの犯罪容疑者の身柄拘束を認めた法律で、延長は14回目。

 

 これまで労働者党(WP)は延長に賛成してきたが、今回は反対票を投じた。改定をめぐる論議は4時間に及び、11人の議員が質問に立った。出席議員数は89人で、WPの8人と指名議員2人が反対票を投じ、2人が棄権した。

 

 改定案では、治安、平和、公序を守るため、容疑者を拘束、監督するとの内相の決定は最終であり、異議申し立ての対象とならない、との条項が加えられた。

 

 WPのデニス・タン議員は、拘束された者は、裁判なしでの拘束命令が正しいかをただす権利を奪われると指摘した。

 

 プリタム・シン議員は「内相判断が最終決定との条項は、裁判官の事実確認作業を妨げるものであり、行政府の行為の合憲性を審査する司法の権限が制限される」と主張した。

 

 改定案では裁判なしでの身柄拘束を認めた犯罪容疑を、「秘密結社の活動、不法金貸し、不法麻薬取引、誘拐、組織犯罪」と具体的に規定した。治安・平和・公序に脅威とみなされると、拘束の対象となる。

 

 現行刑法の改定延長は来年10月で、WP議員はこの時期の審議を「早すぎる。改定までの期間、法を取り巻く環境も変わる」と批判した。

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