シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXライフTOP百日咳

ドクター・グリーンのワンポイント医療情報

2015年5月18日

百日咳

 百日咳は、百日咳菌によって引き起こされる呼吸器感染症であり、その感染力は極めて強いことが知られています。小児では特徴的な激しい咳を認めますが、成人では症状が「長引く軽度の咳」だけのことも多く、受診のタイミングが遅くなる場合があります。さらに成人においては、乳幼児期に接種されたワクチンの効果の低下から、しばしば集団発生が見られます。

 百日咳は、くしゃみや咳による飛沫感染や接触感染でヒトからヒトへと感染します。潜伏期間は1週間程度であり、この病気による死亡率は1~2%です。予防のために最も有効なのは予防接種です。

 乳幼児では、最初のカタル期(1~2週間)では、主に鼻汁、咽頭痛、軽い咳を認めます。その後の痙咳期(2~8週間)では、特徴的な咳発作が長く続き、気道の障害が生じます。そして、それに続く回復期(1~2週間)においても、まだ咳を認めます。

 百日咳の診断では症状が重要であり、2週間以上の咳を認める場合、その他の症状も総合的に考慮して百日咳も疑われ、必要に応じて血液検査も実施されます。治療としては、抗生剤の投与、咳や呼吸困難に対する対症療法を行いますが、薬物投与の開始時期が遅いと治療効果が乏しくなる場合があります。2週間以上の咳を認める場合には、医療機関(特に呼吸器内科)を受診するのが望ましいでしょう。

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.280(2015年05月18日発行)」に掲載されたものです。

おすすめ・関連記事

シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXライフTOP百日咳