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シンガポール不動産「耳寄り情報」

2014年2月17日

3月4月は住宅探しのラッシュ・アワー

2月末から4月末は、日本人駐在員の住宅探しのいわば「ラッシュ・アワー」です。日系企業の人事異動のほぼ半数が、この時期に集中し、家賃も5~10%程度アップします。この時期の住まい探しの注意点をリストアップしてみました。

1. 契約の「更新」交渉は早めが有利

ラッシュ・アワー対策は、時差通勤。すでに借りている住宅の契約満期がこの時期にかかり、その更新を希望する場合は、より早めの交渉開始が借り手には有利です。交渉がピーク時期に差し掛かると、家主には多くの引き合いが寄せられるため、借り手は天秤にかけられやすくなります。

2. 新規の家探しを有利に進めるには?

a.「即入居」ほど有利

家主にとっては、契約開始日までの空室期間は損失です。一般的に家主は、待っても1ヵ月。ピーク時期だと、2週間程度しか待ってくれない場合も多く、見込み客間で競り合いになった場合、「即入居」に近いほど交渉有利です。

 

b. 「家具付き」より「家具なし」のほうが有利

日系企業の駐在員の場合、Fully Furnished と呼ばれる「家具付き」賃貸が大半ですが、欧米人等の場合は「家具なし」のUnfurnishedないしは「(照明、空調、カーテン、白物家電のみの)一部家具付き」Partially Furnishedが大半です。競合の場合、概して「家具なし」のほうが交渉上有利です。また、家具付きの場合、要望項目が多いほうが不利になるので、項目数を極力絞りましょう。

 

c.「個人契約」より「会社契約」が有利

個人所得税上は、今年の所得(つまり2015課税年度)から、会社契約の節税メリットが、ほぼ無くなります。これにより、従来「会社契約」が多かった日系企業の社宅も、手当形式による「個人契約」に切り替えるところが増加すると予想されます。しかしながら、家主との交渉上は、信用力の点で、「会社契約」が有利、「個人契約」は不利です。逆に「個人契約」のメリットは、会社が直接契約者にならないので、人事・総務業務の合理化につながり、また、社宅のもめ事で会社が訴えられたりするリスクを回避できること。家主との交渉においては、個人の判断で手付金支払いや契約調印が迅速に出来、社内手続きに時間のかかる会社契約の競合者にスピードで競り勝ちうることが挙げられます。

 

d. 小さいお子様やペットのいる見込み客を敬遠する家主も多い

新築の高額物件をローンで背伸びして買っている家主さんにその傾向が強いようです。また、ショールーム的な豪華内装ユニットを無理して借りた場合、特に壁紙や白系の大理石床は、退去時に高額の補修費用を請求されることも多いので注意が必要です。家主が消極的な場合、避けたほうが無難です。

3. 学校のスクールバスが来ているか?

家族帯同の場合、お子様の通われる学校や幼稚園のスクールバスが来ていること、また、空席があることが、お住まいを選ばれる際の大前提になります。特に、お子様を日本人学校以外のインターナショナル・スクールに入学させることを計画されている場合は、いずれのインター校に通うかが決まっていないと、的確な住宅立地選定が難しくなります。学校選定やスクールバスの事情で、住宅賃貸契約を無罰解約することはできませんので、御注意下さい。

 

文=木村登志郎(パシフィック不動産株式会社CEO)

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.251(2014年02月17日発行)」に掲載されたものです。

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