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シンガポール不動産「耳寄り情報」

2013年10月21日

シンガポールの工業用不動産

工業用不動産の種類

シンガポールの工業用不動産には、工場用地、標準規格の完成工場ビル、数百のテナントが入る工場ビル(Flatted Factory)、各階に独立した搬入設備のある工場ビル(Stack-up Factory)、ハイテク産業向けのビジネスパーク等多岐に分かれています。これらは行政機関のJTCコーポレーションやHDB(住宅開発庁)等の他、REIT(不動産投資信託)などの民間企業や個人などの所有となっております。

用途規制

政府の土地計画では工業用不動産は、公害排出のレベルに応じたビジネス1(B1)、ビジネス2(B2)と、ハイテク、研究開発等の公害排出がない産業用向けのビジネスパークの3つに区分けがなされています。

ビル内部用途にも規制があり、全体スペースの60%以上は主目的の生産や倉庫等のスペースに使用されていなければなりません。残りの40%については廊下、トイレや当該工場テナントの事務所などの従属施設や食堂、ショールーム、保育所などの補助施設(これは工場テナント以外の単独テナントでも可)となっております。つまり独立したオフィススぺースの利用は違法で、強制退去等取締りが厳しくなっております。個人所有の分譲物件については違法なオフィス貸し等を行っているケースがまだあり要注意です。

また、60/40の比率は個別テナントのスペースにも適用されますので、内装設計には考慮が必要となります。

工業用不動産の賃貸

工業用不動産を取得する方法としては、更地の購入(但しリース権)および賃貸、既存ビルの購入等がありますが、ここでは一般的なFlatted Factoryの一部を賃貸する方法を紹介しましょう。

民間の保有物件でも、土地所有者となる政府機関(JTC等)やNEA(環境庁)への承認申請が必要となります。内容的には公害の有無、賃貸スペースの用途、生産工程の説明等となっていて、設置する機械設備の写真等が求められることもあります。

賃貸の基本条件および賃料

通常の賃貸期間はオフィスと同じく3年間ですが、更新可能となっています。契約時の必要資金は3ヵ月分の保証金と1ヵ月分の前払い家賃、印紙税、JTCへの申請事務手数料となります。毎月支払う必要がある経費は家賃の他、JTCへのSublet Feeがあります。

引渡し条件はオフィスと同じくスケルトン渡しで、広さにより変わりますが平均1ヵ月の無料改装期間が与えられます。上記を踏まえ、大きなテナントは6~9ヵ月、小さなテナントでも3~4ヵ月前には場所探しをしなければなりません。また移転の場合には既存賃貸スペースの原状復帰工事の期間も考慮する必要があります。

Flatted Factoryの賃料は現在平方フィート当りS$1.50から$2.20となっています。またハイテク企業等に人気のビジネスパークは$4以上となります。

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文=木村登志郎(パシフィック不動産株式会社CEO)

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.244(2013年10月21日発行)」に掲載されたものです。

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