2004年7月13日
『ブラフマンの埋葬』小川洋子
昨年8月に刊行された『博士の愛した数式』がいまだにベストセラーを記録している小川洋子の新作。主人公の「僕」の元へ「ブラフマン」という正体不明の動物が突然やってくるところから物語は始まる。彼らの住む村は、一本の鉄道が通っているだけの閉ざされた世界。「僕」は様々な芸術家が集まる「創作者の家」の管理人で、ブラフマンと平和な生活を送っている。そして「僕」が心惹かれる駅前の雑貨屋の娘は、町からやってくる恋人を駅の改札で待つ。結末は題名からも察せられるが、何故そのような結末を迎えただろうと考えると、やりきれない気持ちにさせられる。
新潮社
協力=シンガポール紀伊國屋書店
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.002(2004年07月13日発行)」に掲載されたものです。
文=本店