2004年8月30日
『ベトナム怪人紀行』ゲッツ板谷
不良デブことゲッツ板谷、兵隊ヤクザこと鴨志田穣によるアジアを巡る「怪人紀行」シリーズ。観光コースから離れた場所ばかりを訪れるため、実用に向かないこのシリーズはタイ、ベトナム、インドと3冊刊行されている。鴨志田氏のアクが強く出すぎのタイ、メンバー間の軋轢で雰囲気が暗いインドに比べ、ベトナム編は読みやすい。これはガイド兼通訳の鈴木君の存在が大きい。衝撃の登場シーン、さりげなく紹介するスポットの数々、そしてしんみりさせる別れのシーンと、地味ながらいい味を出しており、彼と板谷&鴨志田コンビとの掛け合いはとても面白い。軽快なテンポの文章、鴨志田穣氏の写真、西原理恵子氏のマンガと非常に読み易く、アジアに興味ある人、西原ファンでなくても、楽しめる一冊となっている。
角川書店(角川文庫)
協力=シンガポール紀伊國屋書店
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.009(2004年08月30日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール本店 古矢