2005年5月16日
『ロボット入門』舘暲(たち すすむ)
今回はシンガポール本店(高島屋ショッピングセンター内)並びにリャンコート店にて「サイエンス フィクション リアリティ」と題して現在開催中のブックフェアの中から1冊をご紹介いたします。
1999年NHK人間講座で放映された「ロボットから人間を読み解く」の内容をもとに、その後のロボット研究の発展と現況をまとめたものが本書である。ロボットの実現は太古からの夢であり、古くはギリシャ神話にも登場していると言う。
21世紀に入り、ロボットが人間と生活をともにする時代を迎えようとしている。ロボットは太古からの夢を実現し人間をもっと自由にしてくれる一方で、その創造主である人間をも振り回してしまう危険を孕んだ時代を招く可能性を持っている。
本書はロボット開発の第一人者である著者が、ロボット開発の歴史をたどり、技術の背後にある人間の夢や叡智に光を当てつつ、ロボットと共存するための方法論を科学技術の視座から展開した書籍である。同時に、ロボットという人工物を通して科学技術と人間のあり方を考える糸口を提供してくれる書籍でもある。是非手にとってご覧下さい。
ちくま新書
協力=シンガポール紀伊國屋書店
この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.044(2005年05月16日発行)」に掲載されたものです。
文=茂見