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2005年5月23日

『聖の青春』大崎善生

photo-9現在第63期名人戦が行われており、森内俊之名人と羽生善治王将の二人が名人位を巡り熱い戦いを繰り広げている。将棋界の覇権争いを続けてきたライバル同士である二人であるが、そんな彼らの同年代に村山聖という棋士がいた。「いた」と過去形なのは、1998年に29歳の若さで亡くなっているからだ。本書はそんな彼、村山聖の一生を『パイロットフィッシュ』の大崎善生が書いたノンフィクション。

かつて将棋雑誌の編集者であり、生前の村山と面識のあった著者によって、彼にまつわる様々なエピソードが綴られていく。難病というハンデを負っての挑戦、「名人になる」という目標に向かってまっすぐ進む執念、奇妙でいてそれでいて深い師弟愛、そして惜しまれる夭逝。

こう書けば書くほど陳腐なものに思われるかもしれないが、とにかく読めば村山聖という男が凄かったということだけは感じてもらえるはずだ。

最後、臨終の間際に意識が朦朧となった村山は棋譜を呟き、「二七銀」と言って息を引き取る。誰と対局していたのか、また最後の一手「二七銀」は勝利の一手だったのか。本書を読まれた方は皆、気になるところだろう。

 

講談社文庫

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.045(2005年05月23日発行)」に掲載されたものです。
文=シンガポール本店 古矢

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