シンガポールのビジネス情報サイト AsiaXライフTOP『石油を読む 地政学的発想を超えて』藤 和彦

紀伊国屋「おすすめの1冊」

2005年7月11日

『石油を読む 地政学的発想を超えて』藤 和彦

photo-2原油価格が歴史的に見て高い水準で推移している。このことが日本経済及び世界経済に与える悪影響について、懸念を表明する見解に接する機会が多い。

「石油神話」(文春新書)や「世界を動かす石油戦略」(ちくま新書)を通して石油にまつわる旧来の認識を改めることの必要性を説き続けきた著者が、現在我々が直面している原油価格高騰の原因や石油に関連する諸問題について言及したのが本書である。

原油価格高騰はアメリカの国内問題から始まった?などの意外な事実に驚かされる。世界最大級の原油生産国に躍り出たロシアの現況や中東産油国において増産のための投資活動が今一つ盛り上がらない状況など、石油を巡る問題が解かりやすく述べられている。

更に急激な経済成長を遂げている隣国中国がその成長速度を失速させないためにエネルギー資源の確保に奔走している状況やその行動を支えている考え、日本が採るべき政策への提言など、興味の尽きない内容となっている。

是非、手にとってご覧下さい。

 

日経文庫(日本経済新聞社)

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.052(2005年07月11日発行)」に掲載されたものです。
文=秋山

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