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2005年10月3日

『江戸っ子長さんの舶来屋一代記』茂登山長市郎

photo-15「長さん」こと茂登山長市郎は、サン・モトヤマの創業者でエルメスやグッチをはじめて日本に伝えた人。義理と人情を重んじる昔ながらの江戸っ子である。全体を通じて年寄りが若者を諭すような古臭い説教風の語り口なのだが、これがとっても新鮮。データを重視するように教育された世代の私たちにとっても、「商売は人なり」とか「勘を信じろ」といった言葉は、なぜか説得力を持っている。これが戦争を経験した人の強さだろうか。戦争から復員し、闇市でアメリカ製品を売りさばいて財を成し、その後ヨーロッパの美術館を巡りながら、美のセンスを磨いた。ある日、目に留まったのがエルメスのショーウィンドーだったという。イタリアやフランスに通い、ブランドの背後にある文化を理解することに尽力したというエピソードは、昨今のブランドブームへの苦言が込められている。今や、巨大資本となったブランド各社は、代理店を通さずに日本で商売しており、サン・モトヤマのような店の存在意義が問われている。彼は、80半ばにして次なる夢を抱いているようだが、今後の展開が楽しみだ。

 

集英社(集英社新書)

この記事は、シンガポールの日本語フリーペーパー「AsiaX Vol.060(2005年10月03日発行)」に掲載されたものです。
文=親松

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